襲撃と救出作戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 14:07 UTC 版)
「ダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件」の記事における「襲撃と救出作戦」の解説
グルシャン地区の街頭風景 グルシャン地区とモハカリ(英語版)を結ぶ道路 バングラデシュ合同部隊は、グルシャンにおける人質事件の救出作戦を実施している間、グルシャン地区の交通の動きを制限した。 襲撃は夜の21時20分ごろに始まった。犯人たち7人は、爆弾と銃で武装してレストランに侵入したが、犯人のうちの1人は剣も持参していた。犯人たちは「アッラーフ・アクバル」と叫びながら無差別に銃撃をはじめ、爆弾を数発爆発させた。テーブルの下に隠れた客もおり、パニック状態で階段を伝って屋上へ逃れたスタッフもいた。そのうちアルゼンチン国籍のウェイターが、ついてきた数人の従業員たちと屋上を封鎖した。彼らはその後、近くの建物に跳び移って逃げた。 2階にいたスタッフたちは、トイレの中に逃げ込んだ。全員で8人がトイレの中に潜んでいた。犯人たちは2階に上がり、ドアの前で「ベンガル人は出てこい」、「イスラム教徒なら出てこい」と呼びかけた。誰もこれに応じず黙っていたので、犯人たちは誰もいないと考えてトイレを施錠した。トイレ内にいたスタッフたちは、身内にテキストメッセージを送って、自分たちがトイレの中にいることを伝え、救助を求めた。犯人たちは、多数の人質を捕らえたが、そのほとんどは外国人であった。報道によれば、レストランのスタッフや、その他のバングラデシュ人に対する犯人たちの態度は「まったく礼儀正しく、心配りが行き届いていた」という。ある犯人は、親しく話すようになったスタッフに、外国人たちは、露出の多い服装やアルコール嗜好などにより、イスラームの普及の妨げになっているとして、「連中のライフスタイルは地元の人間が同じようにすることを勧めている」と不満を述べたという。 警部と当直警官の警察官2名は、銃声を聴いて捜査を開始した。警察もレストランでの事態を把握し、直ちにこれに対応した。警察が到着すると犯人たちと警察の間で銃撃戦となった。警察はレストランの周辺を封鎖して、人質の救出作戦を立て始めた。しかし、犯人たちは手榴弾を投げて爆発させ、上記2名の警察官を殺害した。 犯人たちは、レストランのスタッフが店内の一隅に隠れていたのを見つけ出した。犯人のひとりは、「他の連中は皆逃げたのに、お前は逃げられなかったのだから、これは神がお前の死をお望みだということだ」と言い、彼を爆発物とともに椅子に縛り付け、人間の盾にした。犯人たちは、イスラム教徒と、非イスラム教徒を分け始めた。イスラム教徒には食料と水を与え、非イスラム教徒には与えなかった。7月2日の未明、犯人たちは人質の一部を解放し始めた。ヒジャブをまとった女性たちの一団が解放された。そのうち若いバングラデシュ人の青年も解放されたが、友人たちが解放されなかったので、ひとりで出て行くことを拒んで留まった。 人質をとった犯人たちは、3つの要求を出した ジャマート=ウル=ムジャーヒディーンの指導者、カーレド・サイフッラー (Khaled Saifullah) の解放 犯人たちが退去するまでの身の安全 犯人たちが目指すイスラーム確立の大義の認知 レストランの内部を撮影した写真と称するものが、親ISILのTwitterアカウントから配信され、いくつもの死体や、床に血の海が広がる状態が写されていた。 救出作戦が、バングラデシュの大統領アブドゥル・ハーミドによって命じられ、「稲妻作戦 (Operation Thunderbolt) と名付けられた。作戦は、バングラデシュ陸軍第1空挺コマンド大隊(英語版)が主導した。バングラデシュ陸軍のほか、海軍、空軍、国境警備隊、警察、RAB、SWATが加わり、合同部隊は現地時間で朝の7時40分から救出作戦を開始した。百人規模の特殊部隊員がレストラン内に殺到し、9台の装甲兵員輸送車(APC)が壁を突き破って突入した。12分か13分ほどのうちに、現場は制圧された。その後の救出作業は50分ほどかかった。作戦決行時には、陸軍と海軍の指揮官たちが現場で見守った。 人質のうち、13人は救出された。犯人のうち6人は銃撃戦の中で射殺されたが、1人は生きて捕らえられた。 『The Daily Kaler Kantho』は、武装集団アンサール・アル=イスラーム(英語版)が、実際に襲撃が始まる10時間ほど前に、Twitterで襲撃を予告していたと報じている。
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