藤の花の花言葉
日本では古くから、藤の花に女性的なの美を見出してきた。日本画では女性の象徴として藤の花が描かれたりもしている。
藤の花花言葉の由来
(1)藤の花の見た目からつけられたという説古くから女性にたとえられる藤(フジ)の花の花言葉は、多くの人を温かく迎え入れてくれるような花の姿からイメージすることができる。まず、「優しさ」という花言葉の由来は、房にたくさんついている小さな花々が優しく風になびく姿からきているようだ。花を付けた枝が風にひらひらとなびく様子は優しく手招きをされているようにも思え、その様子から優しく微笑む人も連想される。そして、風が吹くとすぐに花が落ちてしまう藤の花の性質からはかなさも感じられ、「優しさ」という花言葉がつけられたのだろう。
藤の花の言葉の一つにある「歓迎」は、日本人の女性が客人を出迎える姿を連想してつけられたようだ。大きく垂れ下がった藤の花の枝が、まるで頭を下げている人の姿に見えることが「歓迎」の花言葉の由来となっている。藤の花の慎ましやかで控えめな風情から、多くの人を受け入れてくれる雰囲気が感じられ、柔軟に対応してくれる人を思わせるのだろう。そのほかに、「忠実」という花言葉は、幹にしっかり巻き付いて離れない藤の花の様子が、どんな状況においても相手に忠実な態度を最後まで示し続ける人を思わせることからつけられたようだ。
(2)日本の神話や文化からつけられた説
古来より、日本人は藤の花を女性の姿にたとえていた。たとえば、日本神話の中には、ハルヤマノカスミヲトコが、藤の花をイズシヲトメに贈って求婚するといった物語がある。そのほかにも、江戸時代において、藤の花が多くの俳人に詠まれている。たとえば、松尾芭蕉「草臥れて宿かる頃や藤の花」や、与謝蕪村「目に遠くおぼゆる藤の色香かな」など、藤の花の美しさを思って詠まれた詩は数多く、花言葉もそれらに由来するという説がある。藤の花は日本の文化を語る上で欠かすことのできない花でもある。
藤の花の英語の花言葉
藤(フジ)の花の英語の花言葉には、「welcome(歓迎)」「steadfast(確固たる、しっかりした、忠実な)」などがある。藤の花の学名は「Wisteria(ウィステリア)」で、米国の解剖学者カスパール・ウィスター(Caspar Wistar)の名前に因んで名付けられた。藤の花は外国人にとっても、日本を象徴する花といった認識がある。そのため、日本人が客をもてなす様子から「welcome(歓迎)」、主人に対する日本人の忠誠心を表すような「steadfast(確固たる、しっかりした、忠実な)」といった花言葉があるようだ。藤の花色別の花言葉の解説
紫色の藤(フジ)の花の花言葉は、「君の愛に酔う」である。この花言葉は、「源氏物語」に登場する女性「藤壺の宮」と「紫の上」に由来している。まず、二人の名前として用いられている「藤」と「紫」は藤の花の特徴になるだろう。「源氏物語」には、恋多き光源氏が、初恋の人・藤壺の宮をいつまでも思い続け、藤壺の宮の亡きあとも、幼い紫の上にその面影を求めるといったエピソードがある。そして、「源氏物語」では、光源氏が多くの女性と恋愛関係にありながら、藤壺の宮と紫の上の二人に対して特別の思いがあったことも描かれ、そんな光源氏をひそかに思い続ける健気な二人の女性の姿もみてとれる。このように、源氏物語のエピソードや、高貴な色とされる紫色と健気でしとやかな二人の女性の姿などが藤の花にたとえられ、「君の愛に酔う」といった花言葉がつけられたようだ。紫の藤の花から大きな愛をイメージされることから、互いの愛が深く進展している時などに贈ると喜ばれるだろう。
白の藤の花の花言葉には「可憐」「懐かしい思い出」などがある。白色からは、けがれを知らない純粋無垢なものをイメージすることができるため、「可憐」といった花言葉がつけられたのであろう。そして、「懐かしい思い出」は、優しく風に揺れる藤の様子から、楽しかった日々を思い出してほほ笑む人を連想してつけられたようだ。
藤の花本数別の花言葉の解説
藤(フジ)の花は一本のつるから花を咲かせて、そこから伸びた枝先には無数の小さな花がついているのが特徴である。まず、枝先に無数の藤の花がついた様が、振り袖姿のあでやかな女性を思わせる。そのことから、何本もの藤の花の花言葉は、女性の美しい心を表す「優しさ」「歓迎」に当たるだろう。また、女性的でポジティブな印象の花言葉が多い一方、「決して離れない」など少しネガティブなイメージの花言葉もある。これは、松の木などに巻きつきながら大きく成長していく、つる性植物である藤の花の特徴と関係している。藤の花の一本の花言葉には、男性への恋に執着する女性も連想できる「決して離れない」が挙げられる。藤の花の怖い花言葉
藤(フジ)の花には女性を象徴する花言葉が多いが、女性の持つ控えめでやさしい気持ちを表現するものもあれば、女性の持つ怖さを表すものもある。たとえば、怖い意味として捉えることのできる藤の花の花言葉として、「恋に酔う」「決して離れない」が挙げられる。これは、男性との恋に浸ってしまい周りが見えなくなってしまうことや、相手からいつまでも離れようとしない執着のようなものを感じさせる花言葉である。また、よいイメージとして捉えられている「忠実」といった花言葉から、「決して離れない」女性の執着心を連想することもできる。このように藤の花には、マイナス要素のある裏の意味があるということも認識しておくといいだろう。「恋に酔う」「決して離れない」は、相手を束縛するようなイメージの花言葉でもあるため、藤の花にまつわる贈り物をする場合、どういった相手に贈るのか気を付けるのがいい。そして、藤の花に対してネガティブな印象の花言葉があるのは、昔から藤の花にまつわるさまざまな言い伝えがあることにも関係している。たとえば、垂れ下がって咲く藤の花が家の敷地にあると、家の運気も下がるといった言い伝えがある。そのため、日本では家の庭には植えない方がいいといった考えもある。これは、藤の花を広い庭に植えてしまうと、根が成長しつづけてしまい、花が咲かないといった特徴からきているのであろう。植え替えするような環境であれば、根が途中で育てなくなり、それをきっかけにして藤は花を咲かせる。つまり、花が咲くまでに年数がかかる藤の花は、大きく育っても根のままで花を咲かせないこともあるが、それでも環境を変えることで、その子孫を開花へと導くことのできる、根絶やさない花ともいえる。そのため、女性が男性に対して当初抱いていた恋や愛といった気持ちが、その後変わっていくことが連想され、その相手への執着を表す気持ちが藤の花の花言葉にも表われているのだろう。
また、「フジ」と「不死」が同じ響きとして聞こえるため、「永久に生き続ける」といった意味で縁起の良い花として古くから日本人に親しまれてきた。一方、「フジ」は「不死」ではなく「不治」とも同じ響きである。そのため、いつまでも治らない「不治の病」を連想することもできる。日本には、藤の花に対して女性的で良いイメージを持つ人が多かったが、マイナスなイメージを持つ人もいたようである。藤の花に対して少しネガティブな印象の花言葉があるのも、それに起因するかもしれない。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
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