藤の花言葉
藤の花言葉の由来
(1)藤の枝が垂れ下がっている見た目が由来となった「優しさ」「歓迎」「佳客」藤の花言葉の「優しさ」は、その見た目が由来になっている説が有力である。藤は成長すると、枝の先が、頭を垂れるかのように地面に向かう。その見た目が、腰の低さ、誰に対しても分け隔てなく接する様子の例えとなり、「優しさ」という花言葉ができたという説だ。また、垂れ下がっている藤の花は、少しの風でも簡単に揺れる。その柔らかそうな質感を優しそうだと捉える形で、「優しさ」という表現が花言葉になったという説もある。
頭を下げているような見た目の藤は、玄関先で客を迎えている様子にも例えられる。特に、数多くの藤の花が垂れ下がっている様子は、大切な客人の出迎えのために、大勢の人が頭を下げて待っているようだと例えられることが多い。そして、当然だが、垂れ下がって地面を向いている藤の枝が、訪れた人によって向きを変えることはない。したがって、訪れる人を選ばず、誰に対しても頭を下げて迎え入れるということで、「歓迎」という花言葉が生まれた。この「歓迎」には、親しみのある相手を招くという意味よりも、知らない相手であっても受け入れるという意味合いが強い。
さらに、藤には客を迎え入れる側だけでなく、迎え入れてもらう側を指す「佳客」という花言葉もある。「佳客」は、質の良い客という意味の言葉である。相手が頭を下げて迎え入れてくれるほど、質の良い客ということで、「佳客」が藤の花言葉となった。また、頭を下げて快く迎え入れられるほど、良質な客に来てもらいたいという、迎え入れる側の願望も込められている。
(2)藤が松と絡み合う様子が由来の「男女の和合」
藤は古くから、女性の比喩として用いられてきた。また、男性も同様に、松が比喩として使われた。実際に、数多くの古い文献に、女性を藤、男性を松と例えた表現がある。そして、藤はツタ科の植物であり、細く背が高いものに巻き付く形で生息するが、松がその対象になることは多い。そのため、藤と松が絡まり合っている様子から、男女が結ばれることを意味する「男女の和合」が、藤の花言葉となった。
(3)「気品の良さ」の由来は藤の美しい見た目と女性の比喩
藤の花言葉には「気品の良さ」があるが、それは藤の見た目の美しさが由来になっている。紫や白など、淡く落ち着いた色の花が、カーテンのように並んでいる様子が、そのまま「気品の良さ」と例えられた形だ。また、藤は女性の比喩であり、「歓迎」という花言葉がある。そして、かしこまった対応で相手を歓迎できる、上品な女性に例える形で、花言葉が「気品」となったという説もある。
(4)支柱に複雑に絡まる様子が由来となった「決して離れない」「忠実」
藤はツタ科の植物であり、細く長いものを支柱として成長する。そして、支柱となるものに複雑に絡まることは珍しくない。場合によっては、ツタが支柱の周りを何周もしていることで、取り除くのが非常に困難になる。その、支柱に強く複雑に絡みついている様子から、「決して離れない」という花言葉が生まれた。また、藤には「忠実」という花言葉もあるが、「決して離れない」と同様に、支柱となるものに絡む性質が由来となっている。支柱に強く絡まる様子が、人や組織との強い繋がりだと捉えられることで、「忠実」となった。
(6)「豊穣」の由来は藤の花が稲穂に見えること
藤の「豊穣」という花言葉は、藤の花の見た目が由来となっている。咲き誇った花が付いている枝が、地面に向かって垂れている様子を、たわわに実った稲穂に見立てた形である。特に、一面に藤の花が広がっている様子が、田園のようだと称されることが多い。
(5)光源氏の登場人物が由来となっている「恋に酔う」「愛に酔う」
藤には「恋に酔う」という花言葉があるが、それは源氏物語が由来となっている。源氏物語には、「藤」という字が名前に入っている、藤壺の宮という女性が登場する。そして、主人公の光源氏は、藤壺の宮に恋心を抱く。その恋は淡いものではなく、光源氏が他の女性と添い遂げた後でも、彼の心に残り続ける強いものだった。そのことから、藤壺の宮に対する、酔いしれるほど強い恋という意味合いの「恋に酔う」という表現が、藤の花言葉として定着した。
また、源氏物語には、藤壺の宮の姪であり、光源氏の正妻となる紫の上という女性も登場する。紫の上は、光源氏が他の女性との関係を持とうとも、光源氏に対して愛情を注ぎ続けた女性である。そのため、紫の上にちなんで、紫色の藤の花言葉が、「愛に酔う」となった。「恋に酔う」の場合は、光源氏が早世した藤壺の宮を思い続けるという意味合いがあるため、相手に理想を抱いて恋をするという意味がある。それに対して「愛に酔う」には、相手がどのような状態であっても愛し続けるという意味合いがある。
⑦「至福の時」の由来には複数の説がある
藤の花言葉である「至福の時」は、「恋に酔う」という花言葉が由来になっているというのがひとつの説である。酔いしれるほどの恋ができているという時が、「至福の時」だと表現できるほど幸せな瞬間だとする捉え方だ。そして、咲き誇っている美しい藤の花を見ている時が、「至福の時」だという説もある。また、藤を育てるためには、支柱の用意やツタの剪定など、しなければならないことが数多くある。そうして、苦労をしてやっと美しい藤の花を咲かせることができた瞬間を、「至福の時」とする説もある。
⑧白色の性質が関係している「可憐」
白色の藤には、「可憐」という花言葉があるが、それは「恋に酔う」という花言葉と、白色の性質が合わさったことが由来である。白は純真無垢の色であり、心の美しさを表現する際に用いることも多い。そのため、穢れていない純粋な気持ちで恋心を抱くいじらしい様子ということで、白色の藤の花言葉が「可憐」となった。
藤の英語の花言葉
藤の花言葉は、英語で「kindness(優しさ)」「welcome(歓迎)」「good guest(佳客)」「relationship between men and women(男女の和合)」「dignity(気品)」「never leave(決して離れない)」「fidelity(忠実)」「fertility(豊穣)」「drunk in love(恋に酔う)」「blissful moment(至福の時)」などと表す。藤の色別の花言葉の解説
藤の花には色別の花言葉もある。白「可憐」
紫「愛に酔う」
藤の本数別の花言葉の解説
藤の花言葉は、花の本数によって変わることはない。藤の怖い花言葉
藤の花言葉である「決して離れない」は、状況によっては怖い意味となる。強い力で何かに絡みついている様子が、人の執念深さをイメージさせるからである。特に、松にしっかりと絡みついている藤は、恋愛における女性の執念深さを想像させる場合が多い。日本では古い時代から、藤を女性の比喩、松を男性の比喩として用いてきたからだ。松に絡みついている藤のツタは、相手の気持ちが冷めたり、他の女性に気が移ったりしても、絶対に離すことがないという意思の比喩となる。そして、藤のツタは、一度剪定したとしても、しばらくすると伸び、改めて絡まるようになる。その様子が、どのような障害があったとしても諦めず、何度でも相手にしがみつくという怖い意味合いと捉えられる。また、厳密には花言葉ではないが、「藤」の言葉の響きが「不治」と同じであるため、藤の花は「不治の病」という言葉と組み合わせられることがある。そのため、基本的には縁起が良い花ではあるが、場合によっては縁起が悪いという印象を持たれかねない。さらに、藤の花を贈る場合は、鉢植えに入れるか、枝を手折る必要がある。したがって、病気や怪我をしている人へのお見舞いの花としては、避けることが望ましい。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
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