臨時編纂部の設置とは? わかりやすく解説

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臨時編纂部の設置

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 05:41 UTC 版)

明治天皇御集」の記事における「臨時編纂部の設置」の解説

1912年明治45年2月御歌所長の高崎正風薨去する。高崎の死を以って御製漏洩終わりを告げる天皇信頼得て御製漏洩できる人物高崎の他にいないからである。 高崎正風の死から5か月後、明治天皇崩御する明治天皇御製をまとめた御集公刊を願う声が朝野湧き起るが、大官重臣の間には明治天皇御製発表好んでいなかったという理由公刊躊躇する意向があった。特に皇太后同意しないという噂が御歌所職員にも漏れ伝わっていた。 ある会が出版した御製集を目に留め皇太后は、宮内大臣渡辺千秋通じて御歌所長久我通久と寄人井上通泰次のように注意する。「先帝陛下御製世に漏れるのをお好みにならなかった。たとい発表するにしても一応よく調べて見た上で無ければならぬ。世に漏れているものの中には古歌交っているようである。実に畏れ多いことである。両人から一同によく注意するように」と。両人調べると、その書物材料がどこから出て誰が関与したのか判明する御歌所一同に厳重注意するとともに御歌所保管する御製写し収めた箱を全て封印する御歌所寄人井上通泰皇太后からの注意忖度し皇太后御集発表絶対に拒んでいるわけでなく、ただ調査整理済んでいないものを世に出すことを嫌っているのだと考え、あるとき元老山県有朋訪ねてこの話をし、「なにとぞ風教のためにも御発表公刊になるように御尽力願いたい」と頼む。その後、時を経て山県井上呼び「ようやく御整理勅許得た。ただし御公刊の事はまだどうなるか分からぬ。とにかく臨時一局置かれることになったから足下井上〕がその主任になるように」と言う井上宮内大臣宮内次官御歌所長らと何度も協議し臨時編纂部を設けることになる。御集整理御歌所寄人がその任に当たらなければならないが、臨時編纂部を御歌所別の一局にすると何かと都合が悪いので、御歌所長が臨時編纂部長兼ねることになる。 1916年大正5年10月勅裁経た宮内省令として臨時編纂職制定め明治天皇御製編纂するため御歌所臨時編纂部を置き、これに次の職員を置く。 部長は部務を統理職員監督し編纂規程功程定める。御歌所長をこれに充てる当時御歌所長は入江為守である。 委員御製編纂の事を分掌する御歌所寄人参候の中から宮内大臣がこれを命じる。御歌所寄人井上通泰阪正臣大口鯛二千葉胤明須川信行のほか、御歌所参候東坊城徳長長谷信成命じられる幹事部長の命を受け庶務掌理する。御歌所主事をこれに充てる幹事には近藤久敬が命じられる近藤宮内書記官筆頭であり、御歌所主事兼任している。 書記上司を命をうけ庶務従事する宮内判任官の中から宮内大臣がこれを命じる。書記命じられ加藤義清遠山英一両人とも歌人出身御歌所参候である。 以上の職員のほか、臨時編纂部に顧問を置き、宮内大臣奏請によりこれを勅命する。顧問には山県有朋徳大寺実則黒田清綱命じられる臨時編纂部長宮内大臣認可経て嘱託員を置く。嘱託員は4人おり、そのうち根本新之助外山旦正は御歌所録事兼ねる。 井上通泰臨時編纂部長委員長と呼ぶ。井上によると、委員長就任した入江為守極めて温厚な性格で、調和の才に富んでいた。委員の間に歌風思想・主義違いがあっても互いに感情的にならず平和円満に済んだのは入江委員長調和おかげであったという。 委員のうち東坊城徳長長谷信成公卿出身である。公卿出身委員二人早くから宮中梅の間というところで御製年代や題の整理行っていた。歌人出身委員井上通泰によると、公卿出身委員歌人出身委員思想・主義異なっていた。たとえば公卿出身委員のうち一人井上に「仮名遣いは、公卿仮名遣いにしますか、本居仮名遣いにしますか」と聞いてきたことがあった。公家仮名遣いとは定家仮名遣い本居仮名遣いとは歴史的仮名遣いのことである。学界一般では本居仮名遣い用いるが、明治維新当初まで公卿多く定家仮名遣い用いていた。この件は明治天皇詠草本居仮名遣いであったのでそれに決まったという。

※この「臨時編纂部の設置」の解説は、「明治天皇御集」の解説の一部です。
「臨時編纂部の設置」を含む「明治天皇御集」の記事については、「明治天皇御集」の概要を参照ください。

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