背景と曲の執筆
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「恋人たちのクリスマス」の記事における「背景と曲の執筆」の解説
1993年に発表し、自身最高の売り上げを記録した『ミュージック・ボックス』での成功に続き、キャリーと彼女のマネジメントを担当するコロムビア・レコードの職員は、次なるプロジェクトの企画・戦略を考えようとしていた。キャリーが当時結婚していたトミー・モトラ(英語版)は、コロムビアの親レーベルであるソニー・ミュージックエンタテインメントの長で、彼女のキャリア絶頂期において、次にどんな計画を打ち出すべきか検討を始めた。キャリー本人や、彼女と4年以上仕事をしてきた共執筆者のウォルター・アファナシェフを交え、クリスマスを題材にしたアルバムの制作が話し合われたが、その中では、キャリア絶頂期の人間がホリデー・アルバムを出すのは得策ではなく、落ち目のミュージシャンがキャリアの終わりにやることではないかという不安が出された。 アファナシェフは、ホリデー・アルバムに関する最初の会議での心証として、「あの時は、クリスマス・アルバムを出しているアーティストはそう多くなかった。あの時はその術も全く知られていなかったし、新しい人気のクリスマスソングなんて作った人は誰もいなかった。そういう訳で、自分たちは毎日の出来事みたいに、『やあ、知ってるだろ、クリスマスアルバムを出すんだ。大したことじゃないさ』というような感じに〔アルバムを〕発売した」と回想している。結局、モトラの粘り強さと、アファナシェフが言うキャリーの「リスク取りたがり」(英: "risk-taker")なイニシアチブが勝って、この曲と収録アルバムの『メリー・クリスマス』は1994年半ばに完成した。アルバム用の録音は6月に始まったが、キャリーとアファナシェフがこの曲を書き上げて録音したのは8月遅くのことだった。2人はコードや曲構成、メロディをわずか15分で書き上げたと言われており、アファナシェフも大枠をすらすらと書き上げたことを認めている。アファナシェフは更に、「あれは確かに白鳥の湖じゃない。でも、とても単純で楽しいからこそ、あれだけ人気なんだ」(英: "It's definitely not 'Swan Lake,' But that's why it's so popular ― because it's so simple and palatable!")と述べている。自身を陽気な人物と評し、日頃からクリスマス関連のものが大好きだと明らかにしていたキャリーは、レコーディングに合わせて、モトラとニューヨーク北部でシェアしていた家(個人の録音スタジオもあった)を、クリスマスの飾りや、ホリデー風の装身具で飾り付け始めた。 当初アファナシェフは、キャリーが望むメロディやボーカルの幅に手こずり、「青ざめた」(英: "blanched")ことを認めているが、キャリーの側は曲作りの監督に「毅然とした態度で」(英: "adamant")臨んだ。その後アファナシェフは飛行機でカリフォルニアに戻り、曲の打ち込みやプロダクションを完了させた。当初彼は、生で感情的な音を作ろうと、ドラムや他の楽器をバンドに生演奏させるつもりだった。しかし、彼は録音された音源に納得せず、これを却下した上で、自身の個人的な編曲を使い、バック・ボーカル以外の楽器(ピアノ、エフェクト、ドラム、トライアングルなど)を全て打ち込みに変更した。キャリーがハンプトンズに借りた家で歌詞を書き続けている間、アファナシェフは曲の打ち込みを完了させ、バック・ボーカルを重ねるために彼女と会う約束の日を待った。 クリスマス・アルバムの収録・発売に興奮したキャリーは、自分にとって、曲の執筆・収録とアルバムにどんな意味があったか次のように語っている。 「私はとても陽気な人物で、ホリデーが大好き。小さな女の子の頃からクリスマス・ソングを歌ってきた。昔はクリスマス・キャロルにも行った。アルバムを出すには、定番のクリスマス聖歌と楽しい歌のいいバランスを取る必要があった。自分にとって、少なくとも2、3曲新しい曲を書くことは間違いなく重要事項だったけれど、新しい曲がどれだけ良くても、多くの人はクリスマスの時期に定番曲を聴きたいものでしょう」"I'm a very festive person and I love the holidays. I've sung Christmas songs since I was a little girl. I used to go Christmas caroling. When it came to the album, we had to have a nice balance between standard Christian hymns and fun songs. It was definitely a priority for me to write at least a few new songs, but for the most part people really want to hear the standards at Christmas time, no matter how good a new song is."
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