背景と推移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 02:17 UTC 版)
IPv6が誕生した背景には、IPv4のIPアドレス枯渇問題がある。 1980年代までは、米国内を中心に、Class A (/8)、Class B (/16)、Class C (/24) などの単位で各組織にIPアドレスを割り振っていた。1990年代に入り、インターネットの国際化と、参加組織の増大によって、Class BのIPv4アドレスが不足する恐れが出てきた。IPアドレスの数が有限である以上、根本的な解決策が必要となることは自明であり、その解決策として検討された最終成果がIPv6である。 しかし、新しいプロトコルであるIPv6を開発し普及させるには時間がかかるため、短期的な対策であるIPv4の延命として、1994年のプライベートアドレス (RFC 1918) の導入と前後して、CIDR (RFC 4632)・NAT (RFC 2663) ・Proxy(プロキシ)など、プライベートアドレスを使用するLANとグローバルアドレスを使用するWANとを使い分けることでIPv4アドレスを節約し有効活用する取り組みが行われた。 一部には、IPv4アドレス枯渇には、既存の回避策で対応可能であるとIPv6の必要性を疑問視する声もあった。しかし、国際的なインターネットの爆発的な普及と、携帯電話やスマートフォンなどのインターネット利用機器が急速に増加したことにより、新たなIPアドレスの需要が、運用の改善や新たな回避策によるIPアドレスの供給を上回っており、限界に達しようとしている。また、回避策による弊害も顕著になってきており、インターネットの新たな利用形態の普及を阻害している。 現在は、IPv6は運用に目途が立って徐々に普及しつつあり、IPv4とIPv6を併用しつつIPv6へ移行することが課題になっている。
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