細見谷林道工事とは(二軒小屋・吉和西工事区間)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/07 08:27 UTC 版)
「十方山林道」の記事における「細見谷林道工事とは(二軒小屋・吉和西工事区間)」の解説
細見谷林道工事、すなわち、既存(未舗装)の十方山林道(細見谷林道)を拡幅舗装化する工事区間の正式名称は、「緑資源」幹線林道大朝・鹿野線戸河内〜吉和区間(二軒小屋・吉和西工事区間)である。なおこの工事区間の一部では、通称「七曲り」という曲がりくねった部分を直線的な道路に付け替える計画であった。したがって、既存の十方山林道(距離約14.4km)に対して、計画延長(13.2km)はほんの少し短くなる。ところで、この工事区間の規格は、再評価委員会(2000年)や環境保全調査検討委員会(2004年〜2005年)の過程で、大幅に後退していった。つまり、幅員5m(場所によっては4m)、渓畔林部分は現道の幅(幅員3m)のまま舗装化(ごく一部では砂利敷き)とするなど、もはや大規模林道(幅員7m二車線完全舗装)とはいえない規格となってしまった。それでもなお、緑資源機構自らの手によって、工事そのものを中止するという決断はなされなかった。 全国7つの林業圏域および大規模林道について 森林開発公団(後の「緑資源」機構、2007年度末で廃止)によって、1973年(昭和48年)、全国に7つの林業圏域が設定された。すなわち、北海道山地(北海道)、北上山地(青森県・岩手県)、最上・会津山地(山形県・福島県)、飛騨山地(富山県・岐阜県)、中国山地(中国5県)、四国西南山地(愛媛県・高知県)、および祖母・椎葉・五木山地(大分県・宮崎県・熊本県)である。そして、これらの林業圏域において、林道網の中核として位置付けられた大規模な林道のことを、大規模林道(後の緑資源幹線林道)という。 緑資源幹線林道「大朝・鹿野線」について 全国7つの林業圏域の一つである「中国山地」の幹線林道には、山陰ルート(鳥取県、島根県、山口県)と山陽ルート(岡山県美作市〜広島県北部〜山口県下関市)の二つのルートがある。「大朝・鹿野線」(中国山地、山陽ルートの一部)は、全国で32(29路線、3支線)ある路線のうちの一つ。広島県北西部に位置する北広島町(旧芸北町)、安芸太田町(旧戸河内町)、廿日市市(旧吉和村)から山口県北部の岩国市(旧錦町、旧美和町、旧本郷村)、周南市(旧鹿野町)の各市町を貫く計画となっている。 戸河内・吉和〈区間〉について 戸河内・吉和〈区間〉は、「大朝・鹿野線」をいくつかに分けた区間の一つ。広島県北部の山県郡安芸太田町内の国道191号と接する地点、すなわち小板(城根・じょうね)を起点として、二軒小屋から林道十方山線に入り、吉和地域内で国道488号と接する地点(吉和西)を終点とする計画延長24.3kmの区間。 戸河内・吉和〈区間〉は、さらに二つの〈工事〉区間に分かれる。城根・二軒小屋工事区間(計画延長11.1 km)と二軒小屋・吉和西工事区間(計画延長13.2km)である。城根・二軒小屋工事区間は、国道191号線の安芸太田町(旧・戸河内町)小板城根から、三段峡(餅の木)を経て二軒小屋までの工事区間。1990年(平成2年)9月着工、2004年(平成16年)12月すでに完成している。 二軒小屋・吉和西〈工事〉区間について・・・・・拡幅部分、渓畔林部分、新設部分 二軒小屋・吉和西工事区間は、二軒小屋から細見谷を経て、国道488号線の吉和(吉和西)までの工事区間。既存の十方山林道(未舗装)を拡幅舗装化する区間であり、大規模林道問題(細見谷林道問題)の争点となった工事区間である。工事区間のより細かい区分(4区分)については、以下のとおり。 1)拡幅部分、3.8km(二軒小屋〜水越峠の先)、全幅員5.0m(車道幅員4.0m) 舗装幅を5mとし、既設林道を極力利用する線形とする。 2)渓畔林部分、4.6km(細見谷川沿い、水越峠の先〜下山橋〜ワサビ田〜カネヤン原)、現道を利用(車道幅員3.0m) 渓畔林部分の林道は、舗装幅を3mとして既設林道の拡幅は行わず、林道沿いの大径木を伐採することはない。(なお、ごく一部未舗装のままで敷砂利とする) 3)新設部分、1.1km(七曲り部分を避けてショートカット、カネヤン原〜2号橋)、全幅員4.0m(道路幅員3.0m) 舗装幅を5mから4mに見直し、路線の線形を検討し、大径木の保全等に留意する。 4)拡幅部分、3.7km(2号橋〜押ヶ峠〜吉和西)、全幅員4.0m(道路幅員3.0m) 舗装幅を5mから4mに見直し、既設林道を極力利用する線形とし、森林の改変を最小限にとどめる。
※この「細見谷林道工事とは(二軒小屋・吉和西工事区間)」の解説は、「十方山林道」の解説の一部です。
「細見谷林道工事とは(二軒小屋・吉和西工事区間)」を含む「十方山林道」の記事については、「十方山林道」の概要を参照ください。
- 細見谷林道工事とはのページへのリンク