細見谷渓畔林
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/07 08:27 UTC 版)
十方山林道の中間部分は、細見谷を流れる細見谷川(太田川の源流の一つ)に沿っている。そして、そのうちの約5kmほどの区間では、渓畔林(渓流沿いの水辺林)が発達しており、これを細見谷渓畔林という。ただし細見谷では、かつて大規模な拡大造林が行なわれ、標高差300〜400mの両斜面のほとんどすべてが伐採された。その結果、広葉樹の森(ブナ・サワグルミ・トチ・ミズナラなど)の大半は、スギ・ヒノキといった針葉樹で置き換えられた。現在の細見谷渓畔林の規模は、細見谷川沿いに幅100〜200m、長さ約5kmくらいとされている。 2002年夏、自然保護団体をはじめとする一般市民が、河野昭一(京都大学名誉教授、植物学)らの指導の下に細見谷渓畔林を調査した。その結果、河野はこの群落を「チュウゴクザサ-サワグルミ群集(新称)」としたうえで、「本群集の種多様性は極めて高い。その点でも注目に値し、第一級の保全対象と言えよう」と述べている。 なお、この細見谷渓畔林が、現在もかろうじて残っている背景には、一般市民の働きかけに加えて、広島県当局の保護要請や広島大学関係者の伐採反対意見があったとされている。 すなわち、1960年代の拡大造林後、細見谷は荒れていた。1972年(昭和47年)6月、一般市民による「広島県の自然を守る県民の会」が結成され、広島営林署に「十方山細見谷の原生林を伐採しないよう申し入れた」。広島県当局や広島大学関係者からも同様の要望が出された。それらを受けて、同年10月、広島営林署は伐採計画を変更して、今後は「できる限り“オノ”を入れない方針」や、保護樹林帯を従来の20mから40mに拡大するなどの決定をした。
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