細胞傷害性t細胞とは? わかりやすく解説

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細胞傷害性T細胞

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細胞傷害性T細胞

Cytotoxic T lymphocyte, CTL

【概要】 体内ウイルス入ったら、ヘルパーT細胞認識しB細胞抗体を作らせ、細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導してウイルス排除させようとする免疫反応が起こる。CTLウイルス作っている細胞殺しに行く阻撃班のT細胞(リンパ球)。CD8という印を細胞表面持っている。 

【詳しく】 あるウイルス作っている細胞だけを殺す場合特異的CTLという。CTLCAF(CD8 activating factor)などの物質HIV複製抑えるようだ。CTLヘルパーT細胞指示を受けるが、このCD4細胞HIV枯渇させるので、CTL感染当初から弱くなる初感染時のHIV特異的CTLがどれぐらい滅ぼされたかで進行が決まるのかもしれないHIV感染者の中で進行が非常に遅い人は、CTL働きが高いことがわかっている。針刺し事故HIV曝露したが感染しなかった被災者で、半年間にわたってHIV特異的CTLがあったという報告もある。CTL誘導することがHIVワクチン開発の狙いになっている

《参照》 ヘルパーT細胞サプレッサーキラーT細胞CD8CAFHIVワクチン


細胞傷害性T細胞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/14 05:35 UTC 版)

細胞傷害性T細胞(さいぼうしょうがいせいTさいぼう、: cytotoxic T lymphocyte or cytotoxic T cell; TcまたはCTL)とは、リンパ球T細胞のうちの一種で、宿主にとって異物になる細胞(移植細胞、ウイルス感染細胞、細胞など)を認識して破壊する。キラーT細胞: killer T cell)とも呼ばれる[1]。キラーと呼ばれる由縁は、病原体を殺す殺し屋ということから。

概要

未分化のT細胞は、ヘルパーT細胞に必要なCD4分子と、キラーT細胞に必要なCD8分子の両方を発現している(ダブルポジティブ、DP)。しかし、やがてT細胞が成熟するにつれ、分化をしていき、CD4とCD8のどちらか一方しか発現しなくなり(シングルポジティブ、SP)[2]、最終的にヘルパーT細胞またはキラーT細胞へと分化することになる。

CTLは表面にCD8分子を発現しているT細胞から分化してくる。このような理由から、細胞傷害性T細胞のことを「CD8陽性T細胞」や「CD8+T細胞」と呼ぶ場合もある。

CTLとヘルパーT細胞の関係については、表面にCD4分子を表出するヘルパーT細胞(helper T cell; Th)のうちTh1細胞は主にCTLの働きをIL-2およびIFN-γを産生することで補助している。

CTLは活性化されて初めて細胞傷害活性を持つ。細胞傷害活性を持たないナイーブCD8陽性T細胞(まだ抗原刺激を受けていないキラーT細胞)において、そのT細胞受容体(TCR; T cell receptor)が抗原提示細胞(APC)のクラスI主要組織適合抗原MHC-class I)と共に提示された異物の「抗原ペプチド」を認識し(ウイルスや細菌などの抗原を分解したペプチドのことを一般に「抗原ペプチド」という)、同時に共刺激分子からのシグナルが入ることで、ナイーブCD8陽性T細胞は異物の抗原ペプチドを提示する細胞に対する特異的な細胞傷害活性を持つCTLとなり、攻撃するようになる。

この際、CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)よりも強い補助刺激を必要とするため、樹状細胞のみが単独でこの活性化を行うことができる。その他の抗原提示細胞(APC)によって活性化されるためには、ナイーブCD8 T細胞がCD4 T細胞と同一のAPCに結合することが必要である。この場合には、CD4 T細胞によるAPCの活性化を介したB7分子の発現、またはAPCによるCD4 T細胞の活性化を介したIL-2の分泌によりナイーブCD8 T細胞は活性化される[3]

CTLは細胞傷害物質であるパーフォリングランザイムTNF(tumor necrosis factor)などを放出したり、ターゲット細胞のFasを刺激してアポトーシスに陥らせることで異物を攻撃する。

CTLの一部はメモリーT細胞となって、異物に対する細胞傷害活性を維持したまま宿主内に記憶され、次に同じ異物に曝露した場合に対応できるよう備える。

臨床的には、癌に対して癌細胞特異的な抗原に対するCTLを誘導することで治療しようという免疫療法などが研究されている。

アレルギーとT細胞

細胞傷害性T細胞が過剰に反応することにより、アレルギーを引き起こすことがある。そのトリガー(引金)になるのは、個人の体質による。

脚注

  1. ^ 宮坂昌之 ほか編集『標準免疫学』、医学書院、2016年2月1日 第3版 第2刷、154ページ、上段の図
  2. ^ 宮坂昌之 ほか編集『標準免疫学』、医学書院、2016年2月1日 第3版 第2刷、154ページ、本文の冒頭段落
  3. ^ Parham, Peter『エッセンシャル免疫学』笹月健彦、メディカル・サイエンス・インターナショナル、2007年。 

関連項目


細胞傷害性T細胞(CTL)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 14:34 UTC 版)

免疫系」の記事における「細胞傷害性T細胞(CTL)」の解説

細胞傷害性T細胞(CTLキラーT細胞)はT細胞サブグループで、ウイルス(および他の病原体)に感染した損傷した、または機能不全細胞を殺す。B細胞同じく各タイプT細胞異な抗原認識する。細胞傷害性T細胞は、自身の持つT細胞受容体(TCR)が別の細胞MHCクラスI受容体複合体作っている特定の抗原結合するとき、活性化する。このMHC-抗原複合体認識は、T細胞上のCD8呼ばれる共受容体によって助けられる。それからこのT細胞は、このような抗原保持したMHCクラスI受容体発現させている細胞を捜して、体内くまなく移動する活性化したT細胞このような細胞接触すると、パーフォリン英語版のような細胞傷害物質放出するパーフォリン標的細胞細胞膜に孔を開けイオン毒素侵入させる。グラニュライシン(英語版)(タンパク質分解酵素)と呼ばれるほかの毒性物質侵入は、標的細胞アポトーシス誘導するT細胞による宿主細胞殺害は、特にウイルスの複製を防ぐのに重要である。T細胞活性化厳しく制御されていて、一般にきわめて強いMHC抗原複合体活性化シグナルか、ヘルパーT細胞による付加的な活性化シグナルを必要とする。

※この「細胞傷害性T細胞(CTL)」の解説は、「免疫系」の解説の一部です。
「細胞傷害性T細胞(CTL)」を含む「免疫系」の記事については、「免疫系」の概要を参照ください。

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