素性集とは? わかりやすく解説

素性集(色紙)

主名称: 素性集(色紙
指定番号 2467
枝番 00
指定年月日 1991.06.21(平成3.06.21)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数 1帖
時代区分 平安
年代
検索年代
解説文:  平安時代前期歌人素性の歌を集めた『素性集』を色紙などの装飾料紙書写した古写本である。体裁綴葉装現状新補表紙で覆うが、薄茶地金小切箔散の原表紙存し中央に「素性集」と外題がある。本文料紙薄茶、薄黄、茶色色紙白地薄藍地の草花文の唐紙飛雲金銀小切箔、金銀砂子等を散らした薄紙など多様な装飾紙用いている。内題はなく、本文は「きにゆきのふりかゝりたるを」の詞書と「春たては花とやみ覧しらゆきのかゝれるえたにうくひすの鳴」以下六八首を半六行、和歌一首行書詞書は約二字下げ端麗書写し、薄紙には多く片面書き用いるなど書写体裁工夫の跡がみえている。第四七首これやこの」に「可止、蝉丸哥也」と藤原定家の筆になる注記がみえ、本帖が定家の手沢本であったことを明らかにしており、そのほか文中には「古」「撰」などの集付がみえている。なお所収歌中、第二六首「山風に」と第三七首「秋やまに」、第二九首「あきかせに」と第五七首「秋かせに」、第三一首「そこゐなき」と第五八首「かきりなき」はそれぞれ歌句に小異はあるが同一歌の重出考えられる奥書等はないが、料紙書風よりみて平安時代末期書写になるものと認められる
 『素性集』の伝本は、(一)西本願寺三十六人集系(六五首)、(二)前田育徳会本系(六〇首)、(三)冷泉家本系(六八首)、(四)正保版本歌仙家集本系九九首)の四系統大別されており、本帖はその(三)冷泉家本にあたるもので、明治末年複製作られてその存在知られいたものである。本帖の内容西本願寺本に比較的近いが、西本願寺本にない二首(第五首「むめのかを」、第五三首「ふしておもひ」)をもち、歌の配列詞書、歌句等にも異同があり『素性集』の伝本研究上に重視されているとともに多様な料紙用いた平安時代末期私家集装飾写本として、わが国文化史上に貴重である。

素性集(唐紙)

主名称: 素性集(唐紙
指定番号 2468
枝番 00
指定年月日 1991.06.21(平成3.06.21)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数 1帖
時代区分 平安
年代
検索年代
解説文:  『素性集』を美麗唐紙書写した古写本である。装幀薄藍地金銀砂子折枝雲文の後補表紙右端二か所を組紐綴じた大和綴で、本文料紙白地、薄赤地地に、それぞれ片面模様白雲母黄雲母で刷り出し唐紙用いている。体裁見開き二丁および他に一丁の計三丁同一料紙用いており、糊付け痕跡見られないので、当初より大和綴状に綴じたものと考えられる料紙唐紙は、(一)白地白雲母亀甲繋文、(二)白地黄雲母花唐草文(三)赤地白雲母唐草文(四)地白雲母唐草文(五)白地白雲母鳳凰唐草文(以上各三丁)、(六)地黄雲母唐草文二丁)の六種類を用いている。内題はなく、本文は「仁和中将御息所うたあはせに」の「をしとおもふこゝろもいとによられなむちるはなことにぬきてとゝめん」以下六〇首を半六~八行、一首二~三行詞書二字下げに、文字縦線ことさら太くするなど強弱アクセントをつけた流麗な筆致書写している。各歌の頭に「古」「撰」などの集付があり、この集付の多く藤原定家の手になるものと推測され、本帖が定家の手沢本であったことをうかがわせている。なお帖末には後筆で「是自筆歟」とするが、のちにこれを擦消している。奥書等はないが、料紙および書風より平安時代末期になるものと考えられる
 本帖の内容は、前田育徳会本親本にあたるもので、所収歌六〇首中、第二一首「かきりなき」と第五二首「そこひなき」は同一歌の重出考えられるが、第五八首「よろつよと」以下、末の三首は他の系統諸本みえない歌を収め、歌の配列詞書等も他と大きく異なっている。本帖は『素性集』伝本中で独自の地位占め古写本として注目されるもので、美麗料紙とその装幀からも貴重な遺品である。

素性集

読み方:ソセイシュウ(soseishuu)

分野 和歌集

年代 平安後期

作者 素性


素性集

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 12:55 UTC 版)

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素性集

素性集』(そせいしゅう)は、平安時代僧侶歌人である素性家集西本願寺本三十六人家集の1つ。色紙の古写本と唐紙の古写本が、1991年6月21日に国の重要文化財に指定されている。いずれも公益財団法人冷泉家時雨亭文庫が所有。

色紙の古写本

体裁は綴葉装、現状は新補表紙で覆うが、薄茶地金銀小切箔散の原表紙を存し、中央に「素性集」と外題がある。本文料紙は薄茶、薄黄、茶色の色紙、白地、薄藍地の草花文の唐紙、飛雲、金銀小切箔、金銀砂子等を散らした薄紙など多様な装飾紙を用いている[1]。内題はなく、本文は「きにゆきのふりかゝりたるを」の詞書と「春たては花とやみ覧しらゆきのかゝれるえたにうくひすの鳴」以下六八首を半葉六行、和歌は一首二行書、詞書は約二字下げに端麗に書写し、薄紙には多く片面書きを用いるなど書写の体裁に工夫の跡がみえている[1]。第四七首「これやこの」に「可止、蝉丸哥也」と藤原定家の筆になる注記がみえ、本帖が定家の手沢本であったことを明らかにしており、そのほか文中には「古」「撰」などの集付がみえている。なお所収歌中、第二六首「山風に」と第三七首「秋やまに」、第二九首「あきかせに」と第五七首「秋かせに」、第三一首「そこゐなき」と第五八首「かきりなき」はそれぞれ歌句に小異はあるが同一歌の重出と考えられる。奥書等はないが、料紙、書風よりみて平安時代末期の書写になるものと認められる[1]。 『素性集』の伝本は、(一)西本願寺本三十六人集系(六五首)、(二)前田育徳会本系(六〇首)、(三)冷泉家本系(六八首)、(四)正保版本歌仙家集本系(九九首)の四系統に大別されており、本帖はその(三)冷泉家本にあたるもので、明治末年に複製が作られてその存在が知られていたものである[1]。本帖の内容は西本願寺本に比較的近いが、西本願寺本にない二首(第五首「むめのかを」、第五三首「ふしておもひ」)をもち、歌の配列、詞書、歌句等にも異同があり『素性集』の伝本研究上に重視されているとともに、多様な料紙を用いた平安時代末期の私家集装飾写本として、日本の文化史上に貴重である[1]

唐紙の古写本

装幀は薄藍地金銀砂子折枝雲文の後補表紙に右端二か所を組紐で綴じた大和綴で、本文料紙は白地、薄赤地、藍地に、それぞれ片面に模様を白雲母、黄雲母で刷り出した唐紙を用いている[2]。体裁は見開きの二丁および他に一丁の計三丁を同一料紙で用いており、糊付けの痕跡も見られないので、当初より大和綴状に綴じたものと考えられる。料紙の唐紙は、(一)白地白雲母亀甲繋文、(二)白地黄雲母花唐草文、(三)薄赤地白雲母唐草文、(四)藍地白雲母花唐草文、(五)白地白雲母鳳凰唐草文(以上各三丁)、(六)藍地黄雲母瓜唐草文(二丁)の六種類を用いている[2]。内題はなく、本文は「仁和の中将御息所うたあはせに」の「をしとおもふこゝろもいとによられなむちるはなことにぬきてとゝめん」以下六〇首を半葉六~八行、一首二~三行、詞書約二字下げに、文字の縦線をことさら太くするなど強弱のアクセントをつけた流麗な筆致に書写している。各歌の頭に「古」「撰」などの集付があり、この集付の多くは藤原定家の手になるものと推測され、本帖が定家の手沢本であったことをうかがわせている。なお帖末には後筆で「是自筆歟」とするが、のちにこれを擦消している。奥書等はないが、料紙および書風より平安時代末期になるものと考えられる[2]

本帖の内容は、前田育徳会本の親本にあたるもので、所収歌六〇首中、第二一首「かきりなき」と第五二首「そこひなき」は同一歌の重出と考えられるが、第五八首「よろつよと」以下、末の三首は他の系統の諸本にみえない歌を収め、歌の配列、詞書等も他と大きく異なっている。本帖は『素性集』伝本中で独自の地位を占める古写本として注目されるもので、美麗な料紙とその装幀からも貴重な遺品である[2]

脚注

  1. ^ a b c d e 国指定文化財等データベース”. kunishitei.bunka.go.jp. 文化庁(一部改変). 2021年2月10日閲覧。
  2. ^ a b c d 国指定文化財等データベース”. kunishitei.bunka.go.jp. 文化庁. 2021年2月10日閲覧。


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