紙本墨画唐獅子図とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 文化 > 国指定文化財等データベース > 紙本墨画唐獅子図の意味・解説 

紙本墨画唐獅子図〈曽我蕭白筆/(旧本堂壁貼付)〉

主名称: 紙本墨画唐獅子図〈曽我蕭白筆/(旧本堂貼付)〉
指定番号 1908
枝番 00
指定年月日 1991.06.21(平成3.06.21)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 2幅
時代区分 江戸
年代
検索年代
解説文:  阿形【あぎよう】と吽形【うんぎよう】に表された「唐獅子図」は、もと木造地蔵菩薩立像一躯(明治三十七・八二十指定重要文化財)を安置する本堂内陣左右の壁貼付であった朝田寺天台宗寺院であり、また、吽形構成描法が、彭城百川【さかきひやくせん】筆「天台岳中石橋図【てんだいがくちゆうしやつきようず】」(昭和四十九六・八指定重要文化財奈良県・陶原四郎)に近いので、本図天台山中の石橋表したものと考えられる唐獅子や岩は刷毛状の筆で屈折の多い太線作りすこぶる大まかに描写されるが、形象の意味損なわれることはなく、鬣【たてがみ】・点苔渓流などの動勢富んだ筆法あいまって迫力ある画面作り出している。獅子にはこの激し描写にそぐわぬ滑稽な表情与えられおかしみ加えている点も本図の特色である。杉戸本堂に続く書院廊下両端二枚ずつはめられるもので、各二枚とも内側の図のみに款記があるが(印章は「鳳凰図【ほうおうず】」が印文不明印と如鬼【じよき】、「図【ばくず】」が宇斎【うらんさい】・暉雄【てるお】・如鬼。すべて描印【かきいん】と思われる)、外側の図も図様筆法から曽我蕭白【そがしようはく】(一七三〇一七八一)筆と認められる
 「唐獅子図」の、大画面対象拡大して描く構成剽軽獅子の顔は、三十四歳の款記がある「雲龍図」(ボストン美術館)と共通するものがあり、荒々しい筆法は、三十四、五歳ころの作と推定できる寒山拾得図かんざんじつとくず】」(明治四十一・四二十指定重要文化財京都府興聖寺こうしようじ】)に比較的近い。また、杉戸絵の款記書体は、三五歳の「群仙図」(京都府個人)に近い。一方、「雪山童子図【せつさんどうじず】」(継松寺【けいしようじ】)、「旧永島障壁画」(三重県立美術館個人分蔵)など松阪斎宮伝わった作品も、描法款記書体において「群仙図」と近似し、しかも印章欠損状態は「群仙図」以前遡らない特徴をもつことから、蕭白三十五、六歳ころ――明和元、二年(一七六四、五)ころ――この地に遊歴したと思われ本図もその滞在中の作と考えられる。なお、本堂内陣部分安永七年一七七八)に一部増築した伝えられ、「唐獅子図」各図の片下隅の補紙補筆はその移動の際にほどこされたと考えられる
 「唐獅子図」は蕭白画の豪壮な一面をよく示す大作であり、またこの画家活躍した伊勢での画業代表するにもふさわしい。杉戸絵も顔料剥落認められるものの、特異な構想鋭利な造型見るべきものがあり、附として保存するのが望ましい。



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「紙本墨画唐獅子図」の関連用語

紙本墨画唐獅子図のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



紙本墨画唐獅子図のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2025 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS