石材や建築材料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 06:34 UTC 版)
石材として「大理石」と呼ばれるものには、岩石学上の大理石(結晶質石灰岩)のほか、模様や色合いの美しい非変成の石灰岩、トラバーチン(層状の縞状構造を持つ化学沈殿結晶質石灰岩)、鍾乳石、ケーブオニックスなどが含まれる。なかでもイタリア・トスカーナ州のカッラーラで産出する「カラーラ・ビアンコ」、ギリシャのペンテリコ(英語版)で産出される白色大理石「ペンテリコン」、トルコ産の白大理石などが特に有名。 大理石でできた建造物は数多い。たとえば古代ギリシアのパルテノン神殿などの神殿類、ローマのコロッセオ、インドのタージ・マハルなどがよく知られている。また、古代ギリシアでは大理石でさまざまな彫像が作られた。たとえば有名な『ミロのヴィーナス』や『サモトラケのニケ』も大理石でできている。ヨーロッパでは大理石の彫像が、無数につくられてきた。たとえば有名なところではルネサンス期の彫刻家ミケランジェロも大理石から数多くの彫刻を制作した。 フィラ (サントリーニ島)(英語版)で見つかった、BC2700~2300に作られたと推定されている大理石製の容器 パルテノン神殿 サモトラケのニケ 古代ローマ、トラヤヌスのフォルムの大理石の床 『プリマポルタのアウグストゥス』 ミケランジェロ作ダビデ像 Les Trois Graces(en:James Pradier作、1831年) オスマン帝国の皇帝(スルタン)の居城「トプカプ宮殿」内の「大理石テラス」にあるプール フマーユーン廟の、大理石製の飾り窓 タージ・マハル 大理石はその後も、ヨーロッパで建築物の外装、内装(例えば内壁材、床材、マントルピース(=暖炉の飾枠)、洗面台、等々)、キッチンの調理用天板(小麦粉のdoughドウ(=生地)、パスタやパンの材料となるものをこねる場所や生地を延ばす為の棒)、様々な家具や調度品、彫刻の材料、画家のパレットなどに使われ、またクラフトテーブル、ボタンにも使われてきた。最近ではオーディオボードや マウスパッドなどにも使われることがある。 大理石のマントルピース(=暖炉の飾り枠。調度品を置くのにも使う。) キッチンの調理台。表面がなめらかな大理石製は、小麦粉をこね、練り、伸ばすのに便利で、後片付けもしやすいのでしばしば採用されている。 カラーラ大理石で作った洗面台 米国ロードアイランド州ニューポートで19世紀後半に完成した邸宅「マーブル・ハウス(英語版)」。大理石を多用している。 大理石でトルソーを制作しているところ インド、ジャイプールの大理石像制作者たち 日本でも明治時代以降、洋風建築の建築材料として内装用に、しかも「特に上等な仕上げ材」としてイタリア産大理石がよく使われるようになり、大正・昭和時代以降はデパートや一般企業のビルなどでもさかんに用いられるようになり、一般の住宅でも洋風の住宅では建築材料として用いることも増えている。近年は価格の安いアジア産のものも使われている。 大理石には、しばしば独特の模様や色ムラがあり、「マーブル模様」と呼ばれている。 日本では福島県、岩手県、茨城県、埼玉県、静岡県、岐阜県、高知県、徳島県、山口県、福岡県などで産出される。多くは粉砕し工業原料(炭酸カルシウム)として利用されているが、彫刻、工芸品やインテリア製品にも加工される。建築材料としても利用可能な大理石もいくつかの地方で産出している。
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