相次ぐ批判や波紋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 17:40 UTC 版)
「TBSビデオ問題」の記事における「相次ぐ批判や波紋」の解説
1996年(平成8年)3月29日放送の『多事争論』では、視聴者からTBSに寄せられた3千件の意見や疑問点の一部を紹介した。最も多かったのは「なぜビデオを見せたのか」「坂本弁護士一家が居なくなった時、なぜ警察、横浜弁護士事務所に連絡しなかったのか」という疑問点であったという。 また、問題発覚後のTBSの対応や社内調査に対する批判として、「TBSはこの期に及んでも、まだ『本社のずさんな調査』などと言っている。『本社のウソ』というべき」「今回の対応はチッソやミドリ十字、厚生省や大蔵省など官僚たちと変わりなく、決して彼らを批判できる立場にはない」などの意見が紹介された。 さらに、TBSの今後の責任の取り方、信頼回復の方法については、「最低でも、一週間ぐらいの放送停止は当然だと思います」「マスコミとして、国民にわかる調査をし、社長はもとより役員は総辞職をして責任をとって欲しい」などの要望が寄せられた。 一方で、世論のTBS批判や「TBSがビデオをオウム幹部に見せたことで坂本が殺害された」という非難に対しては「坂本はそれ以前にラジオに出演し、麻原と電話での討論を行っており『TBSが見せたテープの内容が殺害の直接の動機となったのではないか』との報道は妥当性を欠いている」との反論や「TBSバッシングに興じることで(報道倫理としての)問題の本質を見逃してしまう」とする異論があった。また、取材テープを取材対象者からの要請で見せる行為は当時多くの放送局で行われていた事に加え、ビデオを見せたのは一連のテロ事件が起きる前であり、この時点でオウム真理教により坂本弁護士及びその関係者がオウムに殺害されるという事態はメディアの側からしても想定不可能であった事から、結局この事件は「たまたまTBSで起きただけで、どこの放送局でも起き得た事件ではなかったのか?」という非難もなされており、多良・武市両プロデューサーの取材ビデオを見せた行為も個人情報保護法がなかった当時は違法行為ではなかった為、彼らへの懲戒解雇処分も不当解雇ではないのかとの批判もある。 更にこれらの批判が行き過ぎ、批判の対象が殺害実行犯のオウム真理教からTBSに移ってしまったことで、一連のオウム事件そのものの真相究明がおろそかになったとの意見もある。当時テレビマンだった森達也は、この事件でこれまでキラーコンテンツだったオウム報道が一転して取扱い注意になり、マスコミはTBSの二の舞いを恐れ、オウム幹部インタビューそのものを自粛するなどして萎縮していったと見ている。
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