目的・任務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 05:59 UTC 版)
警察予備隊令、改正後の海上保安庁法、保安庁法及び自衛隊法はそれぞれ、目的・任務について次のように定めていた。 警察予備隊「この政令は、わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うため警察予備隊を設け、その組織等に関し規定することを目的とする」(警察予備隊令(昭和25年8月10日政令第260号による制定時)第1条)。 「警察予備隊は、治安維持のため特別の必要がある場合において、内閣総理大臣の命を受け行動するものとする。警察予備隊の活動は、警察の任務の範囲に限られるものであつて、いやしくも日本国憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉にわたる等その権能を濫用することとなつてはならない。」(警察予備隊令第3条第1項・同条第2項) 海上警備隊「海上警備隊は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため緊急の必要がある場合において、海上で必要な行動をするための機関とする。」(昭和27年4月26日法律第97号による改正後の海上保安庁法第25条の2第2項) 保安庁「保安庁は、わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し、運営し、及びこれに関する事務を行い、あわせて海上における警備救難の事務を行うことを任務とする。」(保安庁法(昭和27年7月31日法律第265号による制定時)第4条) 自衛隊(制定時)「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」(自衛隊法(昭和29年6月9日法律第165号による制定時)第3条) 自衛隊(現行法第3条1項、2項)1 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。 2 自衛隊は、前項に規定するもののほか、同項の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において、かつ、武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲において、次に掲げる活動であつて、別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行うことを任務とする。一 我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動 二 国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動 警察予備隊は「わが国の平和……を維持し」と、国防目的について言外に含みを持たせて入るものの、「警察力を補う/警察の任務の範囲に限られる」としてあくまで軍隊とは一線を画する警察部隊としての性格を強調していた。それに対して、保安庁では「わが国の平和……を維持し」の文言はそのままとしながら、警察部隊としての性格の部分を記述から排除した。これによって、警察部隊としての箍を外れることとなった。自衛隊では更に「侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務」として明確に国防目的を謳い、秩序の維持は明確に副次的目的とされた。このように、段階的に徐々に警察目的的性格が減退し、逆に国防目的的性格が強調されていることが、目的・任務に関する条文からも読み取ることができる。ただし、元々が警察組織の法律として出発したため、自衛隊法は各国の軍法と比べると、警察法的な側面が見られるとされる。 なお、海上警備隊設置のための海上保安庁法改正に際して、第1条中の「港、湾、海峡その他の日本国の沿岸水域において海上の安全を確保し」を「海上において、人命及び財産を保護し」に改められる。この改正により、海上保安庁の任務の範囲は日本国の沿岸水域に限られなくなった。また、「海上の安全を確保し」よりも治安維持色の強い「人命及び財産を保護し」と改められており、海上保安庁内に海上警備隊を置いた経緯に整合させるための改正がなされている。 2001年(平成13年)の改正で警護出動の新設および防衛秘密の漏洩に関して、民間人が処罰の対象に加えられた。2005年(平成17年)の改正では、ミサイル防衛システムの運用方法が定められた。2006年(平成18年)の改正では、国連平和協力活動や周辺事態での後方支援活動、在外邦人の輸送が付随的任務から本来任務に格上げされた。また、この改正で防衛庁は防衛省に昇格した。2007年(平成19年)の改正では部隊統合運用の観点から、共同の部隊が新設された。
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