発電所建設計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 19:24 UTC 版)
「クロアチアのエネルギー資源(英語版)」も参照 オンブラ川では水力発電所建設計画が進行中で、それによると海面下250メートルから標高135メートルにまで及ぶグラウト・カーテン(英語版)とコンクリート・ブロックで遮蔽された地下貯水池を建設し、その中にオンブラ川源泉の水を引き入れて、発電に利用する予定である。この計画では、全長3,063メートルの Vilina 洞窟が、入り口から7メートル下のレベルまで湧水により水没することになっている。この発電所の設計上の発電能力は68メガワットである。この建設計画に対し、2011年11月22日に欧州復興開発銀行 (EBRD) を通した1億2320万ユーロの融資が承認された。計画の総費用は1億5240万ユーロと見積もられている。欧州連合の生息地指令(英語版)に従い、EBRD から融資を受ける前に更なる環境アセスメントと生物多様性保全計画の策定が必要である。この文書では、必要とされる可能性のあるあらゆる緩和措置や補償事業を規定しておく必要がある。 環境保護NGOにより、7種のコウモリが脅威に曝されることが公表され、開発計画に対し批判の火蓋が切られた。続いてNGOは、計画が不法かつ環境を危機に陥れ、財政的に不健全で、技術的実現性にも乏しいと主張を繰り広げた。建設計画の環境アセスメントは、1999年に実施されているが、クロアチアの法規ではアセスメントの実施から2年を超えることを認めていないため、計画の合法性に異論が出されることとなった。Vilina 洞窟の水没が環境上の懸念事項として取り上げられ、また財政上の問題についても、Hrvatska elektroprivreda(計画を主導する国営企業)が別の建設計画で予算超過を引き起こしており、その点が槍玉に挙げられた。技術面で指摘された事項のひとつとして、地下水による地震の発生が危惧されている。計画反対派は、クロアチア首相へ発電所の建設を取りやめるよう陳情した。 2011年の議会選挙(英語版)の後、先立って建設計画への反対を表明していたミレラ・ホリー(英語版)が、環境・自然保護省(英語版)の大臣に指名された。2012年、当省は当該環境アセスメントに対する再調査を4機関に依頼した。その結果、1つがアセスメントを支持し、3つが反証を挙げて否定した。この調査結果は、ホリーが辞職した翌日の2012年6月7日に内閣へ提出された(辞職と再調査とは無関係と伝えられている)。環境アセスメントの起草者から、調査結果が未公表で調査機関も秘匿されていることを挙げて反対の声が上がった。ゾラン・ミラノヴィッチ首相は、1990年代初頭から懸案とされている問題に対して判断を下す前に、クロアチア国内のみならずヨーロッパ、果ては世界全体から専門家の意見を求めたかったと述べている。 2013年5月、欧州復興開発銀行は環境問題の懸念から融資の承認を取り消した。
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