男の娘の系譜における大空ひばりとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 男の娘の系譜における大空ひばりの意味・解説 

男の娘の系譜における大空ひばり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 05:28 UTC 版)

ストップ!! ひばりくん!」の記事における「男の娘の系譜における大空ひばり」の解説

おたく文化史研究家吉本たいまつによれば本作その後「男の娘」ブーム直接先祖であるとされている。吉本は、江口男女描画コード明示的に転倒させることでギャグ生み出している一方、そこにおいて「性別越境する妖しい魅力」をも作り出していたと分析する男性キャラクターに対して女性描画コード使い受け手認識混乱させる試みは、吉本によれば手塚治虫『リボンの騎士』にまで遡るとされ、本作では『リボンの騎士』より明確に男の子でもかわいければ恋愛・性の対象にしてもよい」という視点打ち出されているとされている。吉本は、描画コード転倒は、その後漫画表現中に根付いて継続していったとし、奥浩哉HEN』、小野敏洋バーコードファイター』(ともに1992年)をその例として挙げている。 「オトコの娘年表」(『おと★娘』VOL.7)の構成担当した来栖美憂は、「オトコの娘文化」の始点はどこかと論じることから始めている。それによれば江戸川乱歩小林少年横山光輝伊賀の影丸』の影丸女装の頃には、一部熱狂的なファンがついていたという。そこへ「大きな一石投じ」ることになったのが本作であるとし、「ひばりくんの可愛さ衝撃的であり、彼が近代女装美少年文化始点という評価異を唱える者はまずいないだろう」と断じている。一方で来栖は、『オトコノコ倶楽部vol.1』において本作を「女装漫画ルーツ」とみなす認識に異を唱えている。ラブコメアンチテーゼとして書かれ本作であるが、結局本作流れ継いだのは『きまぐれオレンジ☆ロード』などのポップなラブコメであった系譜作り得なかった本作は、その意味において「ルーツ」とまでは言えない述べている。『おと★娘』における来栖分析では、本作流れは一旦少女漫画受け継がれつつ、『バーコードファイター』で多く児童価値観を再び揺るがしたとされている。 漫画評論行っている永山薫また、現在の男の娘漫画直結する先駆的作品として本作挙げている。家族が嘘をついて耕作からかっているだけという可能性指摘しつつ、「実は男の子なんだけど、本当女の子かもしれない」という想像余地読者に残す本作の手法は、後の松本トモキプラナス・ガール』(2009年)に継承されたとしている。 一方、あしやまひろこは2015年の、本作を「男の娘作品」の古典として挙げた論稿において、大空ひばりには「男の娘」の本質一部欠けていたと分析している。あしやまはひばりを『プラナス・ガール』の主人公藍川絆と比較し、「容姿行動で男の主人公翻弄する小悪魔」という点では通じるものがあるとしつつ、両者には決定的な違いがあると論じた。すなわち、大空ひばりは、主人公家族以外の世間には女性として紹介され、かつ認知されている。また性同一性障害オカマとして扱われる一面もあり、ポジションギャグキャラクターである。対して藍川絆は、常に女装生活していながら性自認一貫して男性であり、にもかかわらず学園中からアイドルとして扱われているのである(この点には永山注意与えている)。あしやまは『プラナス・ガール』では男の娘可愛さ性別範疇超越するものとして表現されていると評し両者対比中に80年代から現代に至るまでのパラダイムシフト見出せるとしている。 『プラナス・ガール』などの後、男の娘ブーム収束向かった。『オトコノコ倶楽部』の創刊者で、『オトコノコ時代』の編集長であった井戸隆明は、ブームの頃に面白コンテンツがあまり出てこなかったことを衰退の原因一つ挙げている。その上で本作次のように評価している。 絶対的にかわいい、小悪魔的男の娘というのは『ひばりくん』を超えるものはもうないんじゃないかと。ただ、あれを描け時代というのもあったと思います。ニューハーフブームはあったにしても、ひばりくんの実態がはっきりとはわからないですよ。それに翻弄されるというのがギャグマンガとして成り立ったのは時代性でしょうね。いま同じようなことをやってもたぶん成立しない。 — 『オトコノコ時代編集長井戸隆明 井戸は、今後大きな波は再びやってこないだろうと予測し男の娘的なもののメルクマールといえるものは、結局本作や『バーコードファイター』になるだろうとしている。

※この「男の娘の系譜における大空ひばり」の解説は、「ストップ!! ひばりくん!」の解説の一部です。
「男の娘の系譜における大空ひばり」を含む「ストップ!! ひばりくん!」の記事については、「ストップ!! ひばりくん!」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「男の娘の系譜における大空ひばり」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「男の娘の系譜における大空ひばり」の関連用語

男の娘の系譜における大空ひばりのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



男の娘の系譜における大空ひばりのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのストップ!! ひばりくん! (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS