生体への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 09:24 UTC 版)
本来の人間の呼吸は吸気時に胸腔内が陰圧(1気圧以下)になり、呼出時に陽圧(1気圧以上)となる。しかし人工呼吸器を装着している場合、胸腔内は常に陽圧となる。胸腔内にある大静脈や肺の血管が圧迫され、循環の妨げになる。また生体にとって陽圧をかけて肺にガスを送り込むことは無理やり肺を押し広げるため、非生理的なことであり装着時間に比例してダメージも大きくなる。 警告:人工呼吸器を勝手に外すなどして死なせる行為は、たとえ医者や医療従事者であっても、殺人罪等の重罪に問われるため、絶対に行ってはいけない。 循環の障害 血液は体内を一巡する毎に必ず肺を通る。その肺の血管が圧迫されれば、全身の循環が妨げられる。殊に心不全の患者においては著明に血圧が低下する。 腎機能の障害 上記に対する反応として、人体は循環血液量が「足りない」と判断し、水分を体に溜め込もうとするため乏尿が起きる。 ガス交換の障害 肺の血管が圧迫されれば肺の血流は低下し、せっかく人工呼吸器によって充分に換気してもその酸素を血管内に取り込むことが出来ない。殊に間質性肺炎や喫煙、急性呼吸窮迫症候群などによって肺が硬化した患者においては吸気圧を高くしなければ換気できないため、治療に難渋する。
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生体への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/10 01:17 UTC 版)
重水は、物質の溶解度、電気伝導度、電離度などの物性や反応速度が軽水とは異なる値を示す。そのため、飲料水などとして大量に摂取すると酵素反応などの生体内反応に失調をきたす。哺乳類の場合25パーセント重水は不妊を引き起こし、50パーセント重水は致死的である。人間の場合、水分摂取量の10パーセントを超えると問題が生じるとの推測がある。重水の中では魚類も生きることができず、植物の発芽や成長も停止する。一方、藻類やバクテリアは100パーセント重水の中でも生息可能である。 重水はまた、生物の概日リズムに大きな影響を与える。単細胞生物から植物、昆虫、鳥類、マウスに至るまで重水の摂取によって概日リズムが長くなることが確認されており、細胞における概日リズム発生メカニズムの研究に用いられている。 人間が重水を舐めると甘く感じ、軽水と明確に区別することができる。重水が初めて分離されたころから重水は甘いという指摘がされてきたが、2021年に発表された文献では、分子動力学法シミュレーション、細胞単位での実験、マウスモデル、人間の被験者などを使った研究で、人間の甘みを感じるレセプターであるTAS1R2(英語版)/TAS1R3(英語版)に重水が作用して活性化することを明らかにし、人間にとって重水が確かに甘く感じるということを示した。一方でマウスにとっては甘く感じられないことも明らかとなっている。軽水と異なって重水がこの作用をもたらす理由については、2021年現在まだ解明されていない。
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