物語類并注釈書とは? わかりやすく解説

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物語類并注釈書

主名称: 物語類并注釈書
指定番号 2533
枝番 00
指定年月日 2004.06.08(平成16.06.08)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数
時代区分 鎌倉安土桃山
年代
検索年代
解説文:  冷泉家に襲蔵する典籍のうち、中世中心とした物語類并注釈書を一括するのである
 大きく分けると、物語類と、古来より愛読された『伊勢物語『源氏物語』三部からなる
 物語類の主なものには、中世擬古物語いはでしのぶ巻四』の一帖がある。巻四のみで前を少し欠くが、今まで抜書しか知られなかったものである建長三年一二五一)までに成立したといわれ、本帖は成立時期に近い鎌倉時代中期ころの古写本である。西行仮託される説話集撰集抄』は巻一・二だけの一冊であるが、冷泉為秀和歌門弟であった今川了俊書写になる。『唐物語』は中国説話翻案したもので、文明十一年(一四七九)冷泉為広一四五〇~一五二六)の書写になる。一般に藤原成範作とするが、奥書によれば作者一条兼良【かねら】とする。阿仏尼の作として有名な十六夜日記』は筆跡等からみて安土桃山時代写本で、流布本系最古写本として貴重である。他に『徒然草』の享禄本などがある。
 現在多く定本用いられている『伊勢物語』は、天福二年(一二三四)に藤原定家一一六二~一二四一)が孫姫為子に与えたいわゆる天福本である。時雨亭文庫には現在この定家自筆本現存しないが、天文十五年(一五四六)に今川氏見の所望により冷泉為和一四八六~一五四九)が定家原本贈ったときの写本伝存する。原本寸法(縦一五・七センチメートル、横一五・〇センチメートル)を表紙引いて示すなど、原本の姿を忠実に写している。
 『伊勢物語』の注釈書注目されるものに『和歌知顕集巻第二』がある。本書今まで知られていなかった平安時代注釈書で、鎌倉時代中期書写になる。『伊勢物語愚見抄下』は一条兼良編纂したもので、『伊勢物語』の学術的注釈書最初という。この『愚見抄』を守護大名大内政弘依頼により、文明八年一四七六)に兼良が自ら書写したものである。下巻のみであるが、上巻を兼良自筆本から文明十一年に為広が書写した写本伝存しており、併せて自筆本の姿を再現できる。他に『伊勢物語難儀注』などがある。
 また『源氏物語』の写本としては、鎌倉時代後期青表紙本の『かしはき』しか伝存しない点は惜しまれるが、源氏注釈書はよくまとまって蔵している。
 中でも注目されるのは『源氏物語釈』である。『源氏釈』とか『伊行釈』とも呼ばれ平安時代後期藤原伊行【これゆき】が著した『源氏物語』最初注釈書である。本書鎌倉時代中期現存最古写本であり、禁裏本の親本でもある。禁裏本は「明石」までしか書写されていなかったが、最後の「夢浮橋」まで完存して貴重である。『源氏物語聞書』は弘治三年一五五七四月十日から六月十四日聞書帳である。『源氏物語』講筵様子伝えて貴重である。他に『源氏物語系図』をはじめ、和歌注釈した源氏和歌集上』、辞書類の『和漢字源通釈抄』や三条西実隆注釈書弄花抄』などもある。
 このように冷泉家伝存物語類と注釈書中世文学研究資料としてきわめて価値が高いものである
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