演奏スタイル・音楽性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 09:00 UTC 版)
2004年からトランペットによる即興演奏に於いてデジタルリヴァーブとディレイ等のエフェクターを使用し始める。トランペット独奏スタイルで世界観を追求し始めるとDTMによる制作から離れていった。それと同時に、サウンドスケープへの興味からトランペット独奏とサウンドスケープという音楽への取り組みを始める。その後、サウンドスケープへの関心は更に深まり、サウンドスケープ研究・音楽学者、田中直子のワークショップに積極的に参加している。小西は田中直子のワークショップから感性の更なる可能性に気づき、自身の音楽を更に深めていった。また演奏技術においては、マウスピース(歌口)による鳥や動物の鳴き声、マウスピースを楽器に装着した状態でマウスピースを掌で叩く、下唇の代わりに舌を使用し尺八のような音にする、楽器の抜き差し管を外して演奏する、楽器に息を吹き込み風の音を表現する、など単旋律の音楽から特殊奏法を使用した音楽にも音楽性を広げていった。2012年3月12日、日本音楽舞踊会議主催公演 「動き、所作、舞踊と音楽」にて自作品「Talk to me for Trumpet Solo」を彼自身の演奏で初演。調性のある旋律は存在せず、特殊奏法をふんだんに盛り込み、深い残響を取り入れた作品であった。この公演の懇親会の席で助川敏弥は小西の作品と演奏について「地獄のトランペット、悪魔の小西」と冗談交じりに揶揄ったが、小西本人はそのことが嬉しく、高く評価されたと捉えている。また、北條直彦は「今まで聴いたことがないアプローチだ」と述べた。助川の「地獄、悪魔」という言葉は特殊奏法とデジタルリヴァーブによる音響効果がそう感じさせたからである。2016年からは現行のスタイルを継続しながら2018年5月26日に神田川で行われた都市楽師プロジェクト等、アンプラグドでの演奏も再開している。また、コラボレーション作品に於いてはアンビエント、テクノ、ラウンジミュージック、環境音楽等の電子音楽にトランペットの即興演奏を加えていくスタイルで行われており、録音に於いてもデジタルリヴァーブとディレイを取り入れたサウンドになっている。 2020年からは映画の音楽制作をきっかけに、トランペット独奏スタイルの音楽から再びDTMによる音楽制作を盛んにするようになった。それらの作品は映画を意識したものとなっており、ポストミニマル、アンビエントとポップ、民族音楽や民謡が融合した音楽世界になっているものが多い。小西が再び録音作品に力を入れ始めた背景には新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大によるライブ・パフォーマンスの機会が無くなってしまったことが大きな原因であると、小西本人も季刊「音楽の世界」2020年春号、夏号、秋号でも執筆を通じて語っている。
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