海水温・海洋循環への影響
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「地球温暖化の影響」の記事における「海水温・海洋循環への影響」の解説
地球規模の気温上昇に伴い、海水温も上昇する。第4次報告書においては、1961 - 2003年の間に海面 - 水深700m(表層)の海水温が0.10℃上昇しているほか、1961 - 2003年の間に海面から水深3,000m(表層・中層)の海洋の貯熱量も増加し、数年 - 数十年規模の変動と長期的な増加傾向があったとされている。 平均海水温が3℃上昇するだけで、東京湾に生息する魚類が熱帯魚になるともいわれるように、生態系が変化するといわれている。さらに、気温や降水量と同様に、海水温についても、変動幅が大きくなることが予想されている。これは、大気の流れや海流が変わったり、変動が激しくなったりすることによるもので、異常な低温や高温をもたらし、異常気象や生態系への影響をもたらす可能性があるとされる。 また多くの気候モデルで、太平洋熱帯域でのエルニーニョ現象が現在と同様に起こると予測しているが、21世紀中に増加または減少といった一貫した変化傾向は見出せないとされている(AR4)。 氷床や氷河は淡水であり、急激な気温の上昇によって極地の氷河が溶けると、海水の塩分濃度が低下し比重が小さくなる。大西洋北部では地中海由来の塩分の高い海水が沈み込み、深層循環の一部をなしているが、極地方の塩分濃度の低下により沈み込みが弱まるためにメキシコ湾流が弱まり、それによって極地方は寒冷化し、赤道付近は温暖化するという予測もある。第4次報告書に示された気候モデルの計算結果によると、21世紀末には、循環はほとんど変化しないというものから半分程度に弱まるというものまで幅広くあるが、平均して25%程度弱まるとされている。2021年発表のAR6では全てのシナリオにおいて21世紀中に大西洋南北熱塩循環(AMOC)が弱まる可能性は非常に高いとし、一方で停止する可能性は5割の確信度(medium confidence)で無いとした。深層循環の停止 (en) の項も参照のこと。 また、海底に低温度の淡水が流れ込むことにより、深層循環の停止とそれに伴う世界中の海流の変化が起こり、結果、両極周辺の平均気温が下がり高緯度地方と低緯度地方との温度差が著しくなることで、高緯度地方の積雪につながり氷河の増加に繋がるという仮説もある。深層循環は塩分濃度の沈み込みによるエネルギーの他に、風力と潮汐力により循環は起きていると考えらており、塩分濃度の変化だけで循環が起こっている訳ではない。しかし、塩分濃度も要因であることには変わりなく、氷河等の融解による深層循環の停止の可能性を否定したものではない。ちなみに、映画『デイ・アフター・トゥモロー』は深層循環の停止という仮説をもとに作られた作品である。地球寒冷化の項も参照のこと。
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海水温・海洋循環への影響
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「地球温暖化」の記事における「海水温・海洋循環への影響」の解説
「地球温暖化の影響#海水温・海洋循環への影響」を参照 地球規模の気温上昇に伴い、海水温も上昇する。これにより、下記のような影響が懸念されている。 生態系の変化。 水温の変動幅拡大に伴う異常水温現象の増加。太平洋熱帯域でのエルニーニョ現象の増強。 海流の大規模な変化、深層循環の停止。およびこれらに伴う気候の大幅な変化。
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