海水準変動の原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/12 16:06 UTC 版)
全地球規模の平均海水準は、固体である地殻表面の形状と液体である全海水の体積により定まる。例えば近年の地球温暖化問題で考慮すべき数千年から数万年の時間スケールでは地殻形状変化は小さいと考えられるので、海水準の変動のほとんどは全海水の体積変化によると見なせる。そして全海水の体積変化は、全海水量の変化と、温度による体積変化すなわち熱膨張の効果の2つからなる。全海水量の変化は主に陸上の氷との相互変換による。流氷や北極海の氷山のように海面に完全に浮いている氷は、融解しても全海水の体積を変えないので、正確には全海水量とは液体である海水と完全に浮いている氷との合計量というべきである。 長い時間軸では海洋の形の変化と陸海分布も海水準を決める要因になる。また地球内部から地表への水の出入りによる、地表水の全質量の変化が要因となることもある。 地球の長い歴史の間では、大陸移動により陸の配置が現在とはかなり違った形状であった。またプレートテクトニクスの観点からは、海洋プレートの生産が活発になると海洋底が拡大するため(現在のインド亜大陸とユーラシア大陸のように大陸同士の衝突も起きた場合)海洋の面積が増え、相対的に海水準が低くなるという説もある。大陸地殻が極付近に大量に集まった時代は、堆積物の記録から氷期の間著しく海水準が低かったことがわかる。これは極域の陸上には雪や氷が集積できるからである。陸塊が赤道付近に密集している時期には、氷期(寒冷期)が海水準に与える影響は小さい。しかしほとんどの地質時代、長期間の平均的な海水準は現在より高い(グラフ参照)。例えば、白亜紀(グラフの記号では"K")には現在よりも200m以上高い時期があったことがわかる。現在よりも平均的な海水準が低かったのは、2億5千万年前のP-T境界(ペルム紀/三畳紀境界)付近の間のみである。 過去数百万年の新生代氷河時代における氷期-間氷期サイクルでは、海水準は100m以上の変動を示している。主に海から蒸発した水が(ほとんどは北半球で)氷床として固定され成長する時に海水準が低下、後退するときに融解水が海洋に供給されることによって海水準が上昇するからである。現在のグリーンランドと南極の氷床が溶けると、海水準はおよそ80m上昇すると予測されている。
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