民族主義の黎明とは? わかりやすく解説

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民族主義の黎明

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/20 14:54 UTC 版)

チャイコフスキーとロシア5人組」の記事における「民族主義の黎明」の解説

最初の「真にロシア的な」作曲家となったミハイル・グリンカ例外として、チャイコフスキー誕生する1840年以前ロシア固有の音楽といえば民謡教会音楽だけであったロシア正教会禁止されたことが原因世俗音楽その発展阻害されていたのである1830年代に入るとロシアインテリゲンチャ議論戦わせたのは、芸術家ヨーロッパ文化からの借用行った場合に自らのロシアらしさを否定すべきなのか、もしくはロシアの文化刷新発展させるべく重大な歩み進めるべきなのかという問題であった2つ陣営がこの疑問への解を探し求めていた。スラヴ主義者らはピョートル大帝以前ロシアの歴史理想化し、国はビュザンティオン根付きロシア正教会によって広められた独自の文化有しなければならない主張した一方で西欧同化主義者らは、ピョートル大帝が国を改革して西欧同等に引き上げようとした愛国者であったとして賛美した過去振り返る代わりに前を見据えた彼らは、若く未熟なロシア西欧からの借用により最も先進的な西欧文明社会になることができる、そして短所長所転換できる可能性有していると見ていたのである1836年グリンカオペラ皇帝に捧げた命』がサンクトペテルブルクにおいて初演される。これはインテリゲンチャ長く待ち望んだ出来事だった。このオペラロシア作曲家により生み出されたはじめての大規模作品であり、言語ロシア語用いているとともに愛国的であることを特色としていたからである。その筋書きニコライ1世普及させた「官製国民性」の教義にうまく合致しており、それにより皇帝承認確実なものとなった構成様式の点において『皇帝に捧げた命』はイタリアオペラそのものであったが、主題構造洗練されておりオーケストレーションには大胆さ見られた。また、本作ロシア語演目として定着した初の悲劇であったが、主人公のイヴァン・スサーニン(英語版)が最後に命を落とすことでオペラ全体通底する愛国的感情実直さ与えられ際立せられるのである音楽対話によって妨げられ全編通して奏され続けるという点においても、このオペラロシア初となる作品であった加えて同時代の人々驚かせたのが、民謡ロシア国内特有の語法音楽織り込まれており、それらが戯曲として結実していたことである。グリンカ民謡使用した理由について、国家主義明確に狙ったというよりは、オペラによく知られ登場人物登場することを反映したのである説明している。そうした要素オペラ内の主要な部分には用いられておらず、ロシア民謡御者の歌」を使用したことに対して軽蔑的な意見があったにもかかわらず、『皇帝に捧げた命』は恒久的な演目となるに足る人気獲得することになったロシア国内でそれを成し得た最初ロシア語によるオペラとなったのである皮肉にも、同じシーズンジョアキーノ・ロッシーニの『セミラーミデ』が成功収めたため、『皇帝に捧げた命』を常に『セミラーミデ』とほぼ同じキャストによりそのまま上演することが可能であった。『皇帝に捧げた命』の成功にもかかわらず、『セミラーミデ』への聴衆熱狂はイタリアオペラの絶大な需要浮き彫りにした。これはロシアオペラにとっては概して悪しき状況といえ、グリンカ1842年次なるオペラルスランとリュドミラ』を発表した際にはその影響如実に出た。『ルスランとリュドミラ』の失敗機にグリンカロシアから去っていき、国外で生涯終えることになるのである

※この「民族主義の黎明」の解説は、「チャイコフスキーとロシア5人組」の解説の一部です。
「民族主義の黎明」を含む「チャイコフスキーとロシア5人組」の記事については、「チャイコフスキーとロシア5人組」の概要を参照ください。

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