母性保護
母性は本来生理的なものであるが、母体はややもすると疾病や異常が起こりやすく、母体自体の生命を脅かすと共に、胎児の生命と健康にも影響を及ぼすことになる。それだけに母性に対しては母性の各期を通じて十分な保護と特別な配慮が求められる。狭義の母性保護としては、妊娠中の健康管理、異常の早期発見と受診、安全な出産、産褥期の健康管理などがあるが、開発途上国の多くの国では、女性が家族の中で主要な労働力であり家事・育児と共に加重労働になりがちであると共に、母性の保護に対する家族や住民の理解が低いことより、女性だけでなく周囲の家族や住民に対する働きかけが重要である。2001年の世界子ども特別総会に向けた国連事務総長報告では、女性の健康の目標として、妊産婦死亡、家族計画、出産関連のケア、貧血症を取り上げている。
母性保護
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 14:41 UTC 版)
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の記事における「母性保護」の解説
事業主は、その雇用する女性労働者が母子保健法上の保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない(第12条)。 「保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間」とは、健康診査の受診時間、保健指導を受けている時間、医療機関又は助産所等における待ち時間及び医療機関等への往復時間をあわせた時間である。その付与方法・付与単位については、通常、事業主が具体的に定めることになるが、その定め方によって、実質的に女性労働者の通院が妨げられることがあってはならない(平成9年11月4日基発第695号、女発第36号)。 女性労働者が妊娠中の場合、妊娠23週までは4週間ごとに1回、妊娠24週から35週までは2週間ごとに1回、妊娠36週から出産までは1週間ごとに1回(ただし、医師又は助産婦がこれと異なる指示をしたときは、その指示による)、必要な時間を確保することができるようにすること、また、女性労働者が出産後1年以内の場合、医師又は助産婦が保健指導又は健康診査を受けることを指示したときは、その指示により、必要な時間を確保できるようにすることとしている(施行規則第2条の4)。 事業主は、その雇用する女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない(第13条1項)。厚生労働大臣は、この規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとし(第13条2項)、現在「妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることかできるようにするために事業主か講ずべき措置に関する指針」(平成9年労働省告示第105号)が告示されている。厚生労働大臣は、指針を定めるに当たっては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くものとする(第13条3項)。 指針では、妊娠中及び出産後の女性労働者が、健康診査等を受け、医師等から指導を受けた場合、その指導を守ることができるよう、事業主は下記に示す勤務時間の変更や勤務の軽減等を行うことが必要である。医師等の指導がない場合や不明確な場合にも、女性労働者を介して主治医や産業保健スタッフと連絡をとり判断を求めるなど、適切な対応が必要である。妊娠中の通勤緩和(時差通勤、勤務時間の短縮、交通手段・通勤経路の変更等) 妊娠中の休憩に関する措置(休憩時間の延長、回数の増加、休憩時間帯の変更等) 妊娠中または出産後の症状等に対応する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業等) 指針では、事業主がその雇用する妊娠中及び出産後の女性労働者に対し、母性健康管理上必要な措置を適切に講ずるためには、当該女性労働者に係る指導事項の内容が当該事業主に的確に伝達され、かつ、講ずべき措置の内容が明確にされることが重要であり、このため、事業主は、母性健康管理指導事項連絡カードの利用に努めるものとする。 母性健康管理指導事項連絡カードは、多くの母子手帳にその様式が記載され、医師が病名や必要な対応策を記し、従業員が署名して事業主に提出する。事業主は記載された事項を守るよう求められるが、実際には「(カードの存在が)妊婦、企業双方に十分に知られていない。医療用語が多く、企業の担当者は困惑しているのでは」「(カードの)法律上の根拠を明確にして普及させていかないと、妊婦を守る仕組みがうまく機能しない」として、カードの周知がなされていないことが問題となっている。
※この「母性保護」の解説は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の解説の一部です。
「母性保護」を含む「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の記事については、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の概要を参照ください。
母性保護と同じ種類の言葉
- 母性保護のページへのリンク