歴史と政治の展開
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 10:11 UTC 版)
ガイギャックスは、混沌と悪が優勢であり、勇敢な英雄が必要とされる手に負えない場所を作り始めた。彼の世界がどのようにしてこの状態に至ったのかを説明するために、彼は千年に渡る歴史の概要を書いた。軍事史マニアとして、彼は文化的侵略の波の概念(例えばグレートブリテン島のピクト人はケルト人に侵略され、ケルト人は今度はローマ人に侵略された)に非常に精通していた。ガイギャックスの世界の歴史にそれと類似した傾向を与えるために、彼は自分のキャンペーン開始の一千年前、この大陸の北東端はフラン人と呼ばれる平和的だが原始的な民族が占めており、彼らの名前がオアリク大陸のこの地域、フラネス(英語版)の語源となった。当時、フラネスから遥か西方で、2つの民族、バクルーニー人とスエル人が戦争を行っていた。戦争は、両陣営がお互いを壊滅させるためにそれぞれが強力な魔法を使用した時に最高潮に達し、この事件は双子の災厄と呼ばれた。この大惨事による難民は自分達の国を捨てざるを得なくなり、スエル人はフラネスを侵略し、フラン人は大陸の外縁部に逃げざるを得なかった。数世紀後、新たな侵略者であるオアリディアン人が現れ、彼らはスエル人を南方に追いやった。オアリディアン人の一部族であるエアディ族が帝国を打ち立て始めた。数世紀後にエアディの大王国は、フラネスの大部分を支配した。エアディの大王達は新たな暦、共通歴(CY)を、彼らが永久の平和を樹立したと信じた時を元年として開始した。しかしながら、数世紀後、帝国は退廃的になってゆき、彼らの支配者達は健全さを失って悪に転向し、彼らの国民を奴隷状態とした。アイヴィッド5世大王が王位に立った時、虐げられた民は反逆した。 ガイギャックスがワールド・オブ・グレイホークを設定したのは、この時点、CY576年のことである。ガイギャックスは彼の「ワールド・オブ・グレイホーク」フォリオ版に「フラネスの現在の状況は混迷を極めている。人類は孤立主義の国々、無関心な国々、悪の国々、善のために奮闘する国々に分裂した」と書いた。ガイギャックスは、CY576年を各ホーム・キャンペーンの共通の開始時点と考えたため、フォリオ版で公開された情勢に対して、毎月あるいは毎年の更新を行わなかった。それぞれが自身の速さでキャンペーンを進めているであろうため、全てのダンジョンマスターに対して適切であろう更新を公表するための現実的な方法がなかった。 ガイギャックスはまた、様々なプレイヤー達が、彼の世界を異なる理由のために使用するであろうことを認識していた。彼は自分のホーム・キャンペーンのダンジョンマスターであった時、自分のプレイヤー達は政治よりもダンジョン探索により関心を持っていたことに気付いた。しかし、ガイギャックスが役割を変えてプレイヤーになったとき、ロブ・クンツをダンジョンマスターとしてしばしば1対1でプレイし、彼は自分のキャラクター達で政治と大規模戦闘に没頭した。いくらかのプレイヤーは彼らのキャンペーンの拠点にする街を探しており、他の人々は政治と戦争に興味を持っていると言うことを知っており、ガイギャックスは各地域と民族、その支配者の称号、その民族の人種的性質、その資源と主要都市、同盟者と敵などの、可能な限りの詳細な情報を盛り込もうと試みた。 彼が様々な地理的、政治的、種族的設定を作成したのと同様の理由で、彼は同じくいくらかの善、いくらかの悪、いくらかの未決着の地域と共に世界を構築しようと努力した。彼はいくらかのプレイヤーが、主として善の国でその国に仇なす悪と戦う時に最も楽しむことを感じていた。他の者は悪の国に参加することを望むかもしれない。また別の者達は中立の姿勢を取り、善悪両方の勢力から金と財宝を徴集しようとするかもしれない。
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