李氏朝鮮の両班・官僚・刑罰・民族性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 19:39 UTC 版)
「朝鮮紀行」の記事における「李氏朝鮮の両班・官僚・刑罰・民族性」の解説
朝鮮には実質階級が盗む側と盗まれる側の2つであり、両班から登用された官僚階級は公認の吸血鬼であり、人口の5分の4をゆうに占める非貴族は文字通り「下の人間」で、吸血鬼に血を提供することがその存在理由となっていた。宗主国中国の影響のもとに、朝鮮の両班たちは貴族社会の全体的風潮である搾取と暴政をこれまで事実上ほしいままにしてきた。 朝鮮の官僚については、日本の発展に興味を持つ者も少数はいたものの、多くの者は搾取や不正利得ができなくなるという私利私欲のために改革に反対していたとし、堕落しきった朝鮮の官僚制度の浄化に日本は着手したが、それは困難きわまりなかったと述べている。朝鮮国内は全土が官僚主義に色濃く染まっている。官僚主義の悪弊がおびただしくはびこっているばかりでなく、政府の機構全体が悪習そのもの、底もないほどの腐敗の海、略奪の機関で、あらゆる勤勉の芽という芽をつぶしてしまう。職位や賞罰は商品同様に売買され、政府が急速に衰退しても、被支配者を食い物にする権利だけは存続していた。 バードは朝鮮の災いとして、両班を上げている。彼らは自分では何も持たない。自分のキセルですらである。両班の学生は書斎から学校へ行くのに自分の本すら持たない。この階級に属する者は旅行をするとき、大勢のお供をかき集められるだけかき集め引き連れていくことになっている。本人は従僕に引かせた馬に乗るのであるが、両班に求められるのは究極の無能さ加減として、従者たちは近くの住民を脅して、飼っている鶏や卵を奪い、金を払わない。酔っぱらいが美名となることは朝鮮の特徴であり、酔っぱらって正気を失うまで酒を飲んだとしても、恥とはみなされない。食事が終わるころには酔いつぶれて床に寝転がっていても、地位を失うことはなく、酔いがさめれば、贅沢ができるほどゆとりがあるのはすばらしいと賛辞を受ける。 朝鮮人の処罰方法が独特であり、役所の雑卒が罪人を殺傷する。 罪人が苦痛に叫ぶ声は近くのイギリス伝導館の中にまで聞こえてきたと記している。また、身分制度に関して、両班は究極に無能であり、その従者たちは金を払わず住民を脅して鶏や卵を奪っているとしている。両班は公認の吸血鬼であり、ソウルには「盗む側」と「盗まれる側」の二つの身分しかないと述べている。 貯金をしていると近所の人に告げ口されようものなら、官僚がそれを貸せと言ってきて、貸せば元金も利子も返済されず、貸すのを断れば罪をでっちあげられて投獄され、本人あるいは身内が要求金額を用意しないかぎり笞で打たれる。「朝鮮にいたとき、わたしは朝鮮人というのはくずのような民族でその状態は望みなしと考えていた」と思わせていた朝鮮の不治の病は、「何千人もの五体満足な人間が自分たちより暮らし向きのいい親戚や友人にのうのうとたかっている」として、人の親切につけこむ体質にあり、たかることをなんら恥とせずに、非難する世論もないことだとしている。朝鮮ではある程度の収入のある男は、多数の自分の親族と妻の親族、更には自分の友人、自分の親族の友人を扶養しなければならなかった。人々は多額のメリットある官職に就こうとし、職位は商品として売買されていた。
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