木造薬師如来及び両脇侍像
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中尊の薬師如来坐像、左脇侍(向かって右)の日光菩薩立像、右脇侍の月光(がっこう)菩薩立像の三尊。平安時代初期、9世紀の作。もとは3体とも薬師堂に安置されていたが、両脇侍像は収蔵庫に移されている。材質はケヤキで(かつてはハルニレ材とする説もあった)、薬師如来像は、両脚部を含む頭・体の大部分を一木から刻み、いったん前後に割り離して内刳(うちぐり)をしてから矧(は)ぎ合わせる一木割矧造と呼ばれる技法で制作されている。螺髪(らほつ、頭髪)は別材で、一つずつ造ったものを植え付けている。如来像特有の相である眉間の白毫相(びゃくごうそう)を表さない点が特徴である。胸板が厚く、大腿部の量感を強調した肉付け、額が狭く、厳しい表情の面相などに平安初期彫刻特有の様式が現れている。杉材を矧ぎ合わせ、浮き彫りで唐草文様を表した光背も当初のもの。なお、薬師如来像が坐している円形の蓮華座は後世のものと思われる。両脇侍像は一木造で、薬師像よりは細身で穏やかな面相に作られており、腰高のプロポーションなどに奈良時代風がうかがえる。両脇侍像は片腕を体側に下げ、片腕を曲げる対称的な姿をしており、右腕を下げる像を日光菩薩、左腕を下げる像を月光菩薩と称するが、本来の配置は左右逆だったとの説もある。なお、中尊像、両脇侍像ともに部分的に乾漆を盛り上げる技法が用いられている。像高は薬師如来像が141.8cm、日光菩薩立像が169.4cm、月光菩薩立像が173.9cmである。平成8年(1996年)、東北地方の仏像では初めて国宝に指定された。(近畿地方以外の仏像では、高徳院阿弥陀如来像(鎌倉大仏)、臼杵磨崖仏に次いで3番目の国宝指定である)
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木造薬師如来及び両脇侍像
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「法隆寺の仏像」の記事における「木造薬師如来及び両脇侍像」の解説
国宝。平安時代。像高は中尊247.2センチ、左脇侍172.1センチ、右脇侍172.1センチ。中尊は左手に薬壺(やくこ)を持つ、通形の薬師如来像である。台座から光背先端まで含めた高さは4メートルに達する。両脇侍像(日光菩薩、月光菩薩)は坐像で、宝冠をいただき、両腕を前方に差し出し、両像とも中尊に近い方の手を下げる。中尊は平安初期風の量感豊かな像であるが、伏目がちの表情、平行して流れる穏やかな衣文などから、制作は堂が再建された正暦元年(990年)頃とみられる。中尊と脇侍は作風が異なり、作者が異なるとも考えられる。各像の光背は周縁部を除き当初のものであり、台座も当初の形式を伝える。
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