木造良弁上人坐像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 09:27 UTC 版)
国宝。平安時代。像高92.4センチ。大仏殿東方にある開山堂の八角厨子内に安置される像。平素は非公開で、毎年12月16日の良弁忌にのみ開扉される。東大寺初代別当・良弁(ろうべん)の像である。良弁は東大寺の前身である金鐘山房(後の金鐘寺)に住して、新羅僧・審祥から華厳教学を学び、大仏開眼後、東大寺の初代別当に就任した。像はヒノキ材(カヤ材とも)の一木造で、両肩の外側、腰部などに別材を矧ぎ、両前膊、両手先も別材とする。内刳は行わない。像表面の白土(はくど)地の彩色は当初のものが残っている。像は法衣の上に袈裟をまとい、右手に如意(仏具の一種)を持つ姿に表す。この如意は古様であり、厨子内に置かれている杖とともに、良弁遺愛の品と伝えている。袈裟は条葉部(縁取り)に朱、田相部(「条葉」に囲まれた区画)は白群の地に白緑と墨で文様を描く。良弁の忌日法要は、同人の死去から2世紀以上経った寛仁3年(1019年)11月16日に始まったもので、本像はこの時に造立されたものと推定されている。衣文線や唇、人中線などのしのぎ立った刻み方、両脚部の厚み、眼球の盛り上がりなどの表現方法には、平安時代初期、9世紀頃の彫刻様式が顕著に現れている。
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