【曲技機】(きょくぎき)
広義においては、曲技飛行の耐空証明を得た航空機の総称。
一般には、曲技飛行をおこなうために製造、あるいは改造された飛行機を指すことが多い。
通常の飛行とは異なる姿勢をとる場合が多いため、戦闘機のように視界のよいキャノピーを採用する。
飛行の軌跡が観客から見やすくなるように、スモーク発生装置を備える。
背面飛行を頻繁におこなうため、対称翼や特殊な燃料ポンプを備えるものも多い。
運動性を重視するあまり、安定性や速度などの性能が制限される場合もままあり、通常の飛行にはあまり適さない。
また、コンプレッサーストールを防ぐため、現代においてもレシプロエンジンを使用した機体が多い。
ただし軍隊や自衛隊の曲技チームにおいては、その広報に貢献するという性質上、ジェットエンジンを搭載した戦闘機・攻撃機(マルチロールファイター)や練習機を改造して使用する場合がほとんどである。
曲技専用機の例(メーカー別)
軍用機改造曲技機の例(曲技チーム別)
曲技機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/04 08:54 UTC 版)
曲技飛行を行うための飛行機は曲技機 (Aerobatic aircraft) と呼ばれる。 機体は低翼式の主翼に逆T字の尾翼、固定式の降着装置という伝統的な設計が多いが、翼型は頻繁な背面飛行を行うために対称翼とし、近年では複合素材や炭素繊維を多用した機種も多い。操縦系は軽量化のためにケーブル式で、飛行に影響しない装備は消火器など法律で定められた物品以外はスモーク発生装置だけという機体も多い。このため、長距離飛行ではフライトコンピューターを使った航路修正が必須であるが、近年ではアビオニクスの進化により軽量なグラスコックピットが登場しているため、利便性の優先から採用している機種もある。 エンジンは推力重量比は1を超える強力なモデルを搭載することが多く、離陸直後に垂直上昇が可能なほか、プロペラ機では機首を上に向けたままカウンタートルクで機体をロールさせ、姿勢を保ったままヘリコプターのように滞空する技もある。 このような設計から、通常の飛行機では不可能な動作が可能となっている。エンジンが強力ゆえに燃費は悪いが機体が軽量であり、ある程度は相殺されている。 欠点として冷暖房や与圧が無く、狭い操縦席でケーブル式の操縦系を動かすことから疲労がたまりやすく、長時間の飛行には向かない。対策として補助翼の下部にスペードと呼ばれる三角形の小さな翼を取り付け、操作に必要な力を軽減させることもある。また、軽量に加えて意図的に安定性が崩れやすい設計から、風の影響を受けやすいうえにエンジンも強力であるため、通常の操縦でも一定以上の技量が必要となる。 軍隊では、予算の都合で戦闘機や練習機にスモーク発生装置を付けただけの機体も多い。 耐空類別では技の種類について規制があり、制限無く曲技を行うには「曲技 A」の証明が必要となる。 エアレースでも曲技機が使われるが、好成績を狙うためによりルールに合わせて調整した、エアレーサーと呼ばれる機体も存在する。変更点としては、空気抵抗を減らすために車輪のスパッツ形状の最適化やウィングレットの追加などが挙げられる。 複葉の曲技機ピッツ・スペシャル レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ用に調整されたジブコ エッジ540 曲技飛行に対応した滑空機Swift S-1 リノ・エアレース向けにP-51を改造したエアレース機Precious Metal グラスコックピットを採用したヴァンズ・エアクラフトのRV-14
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