早期に普及が見込まれる技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/04 13:50 UTC 版)
「地球温暖化のエネルギー供給面での緩和技術」の記事における「早期に普及が見込まれる技術」の解説
温暖化対策においては、特に今後10~30年ほどの緩和の努力が重要とされている。そのため今後10~30年ほどの間に普及が見込まれる緩和技術の重要性が指摘されている(AR4 WG III、スターン報告、)。これに該当するエネルギー供給に関連する緩和技術としては下記のようなものがある。 各種エネルギー源の効率改善…既存の火力発電所や各種動力源の熱効率改善など。 石炭や石油から、天然ガスなどの比較的温暖化ガスの排出量が少ない燃料への転換。 小規模分散型エネルギー源の導入…コージェネレーションや地域熱供給なども含む。 再生可能エネルギーの普及…特にバイオマスエネルギー、風力発電、太陽光発電・太陽熱発電・太陽熱利用、地熱発電・地熱などの普及可能性が指摘されている。それぞれ有効な分野は異なる。 原子力発電の活用…低コストで低炭素排出のベースロードとしての有効性が指摘されている。 電化の促進 製鉄部門における低排出化…効率の高い日本などでの製鉄技術の世界への普及、ITmk3などが検討されている。 廃棄物発電 運輸部門における電化や燃料転換、効率の向上…ハイブリッドカーや電気自動車、水素やバイオエタノールの利用など 個々の対策にはそれぞれ特有の限界もあり、特定の対策の割合だけが増大すると費用対効果が悪化するため、エネルギー供給システム全体で考えることが必要と指摘されている(スターン報告)。例えば、下記のような課題が指摘されている(スターン報告、)。 一部のバイオマス燃料における排出量削減効果の向上、食料との競合解消 太陽光発電におけるコスト低減の継続 風力発電における平滑化技術や洋上発電技術の開発促進 原子力における低需要時の余剰電力対策、放射性廃棄物の処理 CCSのコストに釣り合う高い排出権価格 国際エネルギー機関による予測では、大気中のCO2濃度を450ppmで安定化させるため、2050年までの排出削減量のうち、再生可能エネルギーで21%、CCSで19%、原子力発電で6%を削減し、残りの54%を省エネルギーなどで削減するシナリオが示されている。 省エネルギー以外の技術では基本的に炭素プライシングが必要とされる。t-CO2あたりのおよその対策費用は発電部門では0~100米ドル、二酸化炭素回収貯留は50~300ドル、運輸部門は100~800ドル程度とされる。ただし温暖化問題とは独立に、石油資源の枯渇に伴う不足分を補うにはやはり大規模な投資が必要と指摘されている。
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