日本の空港の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 05:22 UTC 版)
狭隘かつ急峻で島嶼の多い国土を有する日本の空港は、海外の基幹空港に比べて国土面積当たりの数が多く、滑走路の本数、滑走路の長さ、ターミナルビルのいずれも規模が小さい傾向にある。このような中規模クラスの空港は比較的市街地から近い距離に配置されており利用者の利便性については優れているが、その反面需要の集約ができず就航路線の採算性が低下する側面も併せ持つ。中規模クラスの空港が乱立した結果、投資が分散して国際的なハブ空港となるような空港の建設は行えていない。また、日本の空港の着陸料は世界で比較的高い水準にあるが、利用料の多くを直接負担するのは航空会社である。一方、欧米の空港は乗客が支払う施設利用料が高額に設定されており空港利用料の大半を旅客が直接負担する。 「空港使用料」および「着陸料」も参照 国内線定期路線については、大都市圏の市街地から比較的近い東京国際空港、大阪国際空港を拠点とした路線網が構成されており、その他の地方空港はこれら2空港の一方、もしくは両方との路線をもつ空港が多い。その反面、騒音問題や用地確保の難しさなどによって都市部における空港インフラは不足しており、慢性的な容量不足となっている。特に離着陸回数が多く発着枠に余裕のない成田国際、東京国際、関西国際、大阪国際、および福岡の各空港は、国土交通省により混雑空港に指定されている。一方、大都市圏以外の空港は、東北、中国、四国、九州の各地方のように、離島に所在する空港を除いても1県に1つ以上の空港が設置されているなど、空港の数こそ多いものの、需要不足に苦しむ空港も少なくない。離島空港では、小規模空港を中心に小型機専用の短い滑走路しか持たない空港も少なくないが、航空機の大型化に対応できないことや搭乗率低迷の影響で、定期路線が運行されない空港も存在する。 国際線用の設備に関しては、前節に示した通り、離島空港を除く大半の空港に国際線が就航するために必要となるCIQ(税関、出入国管理、検疫)の設備が設置されている。その一方、2019年時点では、便数ベースで日本に就航する国際線定期路線全体の半数弱を成田国際空港と東京国際空港の2空港が、75%以上を成田、東京、中部、および関西の4つの国際空港がそれぞれ占めている。その他に目立って多くの国際線定期路線が就航するのは、新千歳、福岡、および那覇の各空港ぐらいである。これまでに挙げた新千歳、成田国際、東京国際、中部国際、関西国際、福岡、および那覇の7空港以外では、全て合計しても日本に就航する国際線定期便全体の5%程度と、国際線定期路線の就航先は一部の拠点空港に偏在している。 また、国際線定期路線の行先については、前述の4つの国際空港以外の空港における国際線定期路線は、そのほとんどが韓国、中国、台湾、香港といった近隣の東アジア地域との路線である。東アジア地域以外ではグアム、ハワイ、東南アジアといった中距離路線が多いが、東アジア地域以外への定期路線は前述の4つの国際空港以外からは僅かである。例としては福岡空港や新千歳空港からグアム、ハワイ、東南アジアおよびヨーロッパ方面への路線が就航がある程度である。 なお、一部の空港では正式な名称とは別に愛称を付与している。各空港の愛称については下記の「日本の空港分類」および「地域一覧」を参照のこと。
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