日本における貫通路と日本国外における貫通路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 15:36 UTC 版)
「貫通扉」の記事における「日本における貫通路と日本国外における貫通路」の解説
日本においては、明治時代の二軸客車については、貫通路を有しないものがほとんどであった。しかし、1898年に山陽鉄道で乗客が密室となった客室内で強盗に襲われ殺害されるという事件(山陽鉄道列車強盗殺人事件)が発生し、保安面から貫通路を設けた車両の必要性が認識され、この頃から普及しだしたボギー客車には貫通路と貫通幌が整備されるようになった その後も、都市近郊で運転される電車には貫通路や貫通扉はあっても、内開き式の開き戸であったり、貫通幌がない状況が続いていたが、1951年に発生した桜木町事故(車両火災事故)を契機として引戸がほぼ全車に普及し、現在では貫通幌を設置するなどの安全対策がなされている場合がほとんどである。貫通扉についても韓国で2003年に発生した大邱地下鉄放火事件を契機として、新規製造される車両については、火災時の延焼防止策としてドア閉め装置とともに設置が義務づけられており、半ば常識的な存在である。 一方、日本国外においては、そもそも常時乗客が使用できる貫通路が設置されておらず、非常用もしくは単なる壁面という場合も少なくなかったが、近年は常時乗客が使用できる貫通路を設置する場合が以前より多く見られる傾向にある。 ベルリン地下鉄においては1995年登場のH形電車より貫通路が常時通り抜け可能となった。それ以前に製造されたF形・A3形・G形などの車両では貫通路自体はあるものの非常用であった(一部F形に常用可能な貫通路を装備した車両があるがH形登場後のリニューアル工事による後付けである)。 ストックホルム地下鉄においてもベルリン同様、1997年のC20系以降常用可能な貫通路が装備されるようになった。 アメリカの鉄道においては、都市間輸送を担うアムトラックおよび各通勤鉄道において、客室に航空機のような避難マニュアルを用意し、「先ずは貫通扉を開き他の車両への避難を、それが出来なければ乗降ドアを開放し降車、最終手段として非常口として指定された窓枠を外し脱出すること」としている。アメリカの鉄道における貫通扉・貫通路は、普段から使用できる車輌・路線(メトロリンク (南カリフォルニア)など)と非常時のみに通行できる車輌・路線(シカゴ・Lなど)とがあるが、長距離旅客列車を運行するアムトラックの場合は自動ドアを備えた貫通扉を各車の前後に備えており、上部の手押しボタンを押下または足下のボタンを蹴ることで動作し、食堂車に移動する際などに使用することができる。
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