日本におけるシリーズハイブリッド式気動車の導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 02:04 UTC 版)
「鉄道車両におけるハイブリッド」の記事における「日本におけるシリーズハイブリッド式気動車の導入」の解説
「日本の電気式気動車#電気式の将来(ハイブリッド気動車・新世代の電気式気動車)」も参照 日本国有鉄道(国鉄)時代から、出力が低い割りに重量が過大となる電気式気動車が敬遠されてきた日本では、2000年代以降、シリーズハイブリッド気動車という形で電気式気動車の導入への試行が行われた。日本で電気式気動車が顧みられるようになったことには、次のような背景がある。 性能面 ディーゼルエンジン技術向上によるエンジンの軽量化・高効率化が進み、ステンレス素材等による車体の軽量化も進展する一方、軽量な誘導電動機や交流発電機が鉄道車両用に実用化され、電気式気動車が液体式気動車と遜色ない性能を得られるようになった。 液体式気動車に対する総合的な優位性 液体式気動車における専用機器類として、液体変速機、変速機と台車間の推進軸(プロペラシャフト)、駆動力を台車内で直角に方向転換する減速機といった装置が挙げられる。これらは日本国内の限られた気動車向けに比較的少数が供給されているに過ぎず、コスト高の原因である。加えて、走行中に角度を変えながら高速回転する推進軸回りは脱落事故のリスクが付きまとい、安全上問題であった。電気式気動車は、台車および主電動機、動力伝達装置を電車と共用でき、制御装置や補助機器類についても電車と共通化させやすい。電車の駆動系機器は液体式気動車のそれより格段に量産規模が大きく、台車内でパッケージ化されていて安全性・信頼性にも優れるため、その採用はイニシャルコスト、メンテナンスコストの両面で得策である。 技術的拡張性 電気式気動車は、エンジンと駆動系が機械的に切り離されているため、電車同様、システム全体のモジュラー化が容易となる。これにより、ハイブリッド方式の採用や、発電ユニットをエンジンから燃料電池に置き換え得るなど、技術の進展に合わせた拡張性に優れる。 また、ハイブリッド鉄道車両を含む電気式気動車については、甲種内燃車運転免許だけでなく、甲種電気車運転免許でも追加の教育を受ければ運転することができるようになっており、鉄道事業者の運転教育などのコストが低減されている。 なお、日本における電気式気動車の復権は当初ハイブリッド気動車によって開始されたが、蓄電池を搭載しない純粋な電気式気動車の導入も広がりつつある。
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