日本での最高速度の決め方(一般道路)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/09 18:54 UTC 版)
「最高速度」の記事における「日本での最高速度の決め方(一般道路)」の解説
前節で決定された基準により、平成21年度(2009年度)警察庁通達に基づき、以下のように規制速度を決定する。 一般道路(生活道路及び自動車の通行機能を重視した構造の道路を除く。) 下記の基準速度一覧表より、道路に合致する基準速度を決定する。一般道路においては実勢速度(85パーセンタイル速度)を基に規制速度を検討している。ただし、実勢速度は一般運転手によって決定されたドライバー本位の速度であり、このような速度を規制速度としてしまうと交通事故が増加する危険性がある。 そのため、事故の危険性が懸念される実勢速度より低い速度で走行するよう、道路の区分ごとに実勢速度を推定した上で、歩行者等の保護など交通事故抑制の観点を考慮して、実勢速度を引き下げて決定された基準速度を導入している。ただし、日本の一般道路の多くは走行速度60 km/hを目標とした設計が行われているとして、基準速度の上限は60 km/hに設定された。 表から決定した基準速度を最大限尊重しつつ、補正要因の例示を参考にして原則として±10 km/hの範囲で補正を行い、規制速度を決定する。なお、表の要素以外による補正も可能である。 生活道路は原則30 km/hとする。(原則であり、ここから補正を行うわけではない) 「自動車の通行機能を重視した構造の道路」かつ「安全が確保された道路」については原則70 km/hまたは80 km/hとする。 ただし、基準速度60 km/hについては警察庁は原則として70 km/hへの上方補正を行わないとしている。 一般道路の基準速度区分地域車線数中央分離歩行者交通量85パーセンタイル速度基準速度基準速度の決定時に考慮した要因(実勢速度からの引き下げの理由)1 市街地 2車線 - 多い 51.9 km/h 40 km/h 市街地,歩行者 2 少ない 57.1 km/h 50 km/h 市街地 3 4車線以上 あり 多い 59.0 km/h 50 km/h 市街地,歩行者 4 少ない 64.1 km/h 60 km/h 市街地 5 なし 多い 58.7 km/h 50 km/h 市街地,歩行者,中央分離 6 少ない 63.9 km/h 50 km/h 市街地,中央分離 7 非市街地 2車線 - 多い 58.2 km/h 50 km/h 歩行者 8 少ない 63.3 km/h 60 km/h 基準速度の上限値 9 4車線以上 あり 多い 65.3 km/h 60 km/h 歩行者 10 少ない 70.4 km/h 60 km/h 基準速度の上限値 11 なし 多い 65.0 km/h 50 km/h 歩行者,中央分離 12 少ない 70.1 km/h 60 km/h 中央分離 (参考) 生活道路 主として地域住民の日常生活に利用される道路で自動車の通行よりも歩行者・自転車の安全確保が優先されるべき道路 30 km/h(原則) ただし、例えば高齢者の歩行者等の割合が高く車両との衝突時の被害軽減を特に図る必要がある道路 通学路のうち特に必要がある道路 地域住民から強い要望がある道路 通行止め規制を実施したいがやむを得ない事情により自動車の通行を制限できない道路 等においては、個別の道路交通環境の実態を踏まえつつ20 km/hを指定することができる。 また、徐行は更に低速の規制と考えることもできる。 (参考) 自動車の通行機能を重視した構造の道路 一般道路(高速自動車国道および自動車専用道路を除く)で、原則として次のいずれにも該当する道路 設計速度が60 km/h以上 立体交差化 上下線分離 かつ安全が確保された道路 70 km/hまたは80 km/h(原則) 70 km/h以上の最高速度を指定する場合は交通事故発生状況を考慮するとともに原則として歩行者、軽車両及び原付の通行止め規制を実施すること ^ a b 85パーセンタイル速度は「中央分離なし」として算出されているが、中央分離ありの道路では速度の検討は行われていないので、この基準速度は中央分離ありの道路にも適用される。 ^ どの区間を「通行機能を重視した道路かつ安全が確保された道路」として扱うかは都道府県警察が決定するので、基準速度60 km/h±10 km/hまで考慮すると、50 km/hから80 km/hの範囲で指定できる。(基準速度50 km/hなら40 km/hから80 km/h) 市街地:DID(人口集中地区)、非市街地:DID 以外 車線数:上下線合計。3車線の場合は、2車線の基準速度に準じて設定する。 中央分離:物理的施設(縁石、柵等)により判別。チャッターバーやポストコーンによるものは「分離なし」とする。 歩行者交通量:規制速度決定時点で最新の道路交通センサスのデータを使用する。なお、道路交通センサスのデータがない道路においては、実測によるものとし、新設道路においては道路交通環境が類似した道路の歩行者交通量を参考とする。 歩行者交通量多い 市街地 :701 人/12 h以上 非市街地:101 人/12 h以上 歩行者交通量少ない 市街地 :700 人/12 h以下 非市街地:100 人/12 h以下 規制速度設定時に基準速度を補正する主な要因観点基準速度を下方補正するケース(原則-10 km/hまで)基準速度を上方補正するケース(原則+10 km/hまで)安全性の確保交通事故が多い重大事故の発生割合が高い 交通事故が少ない重大事故の発生割合が低い 生活環境の保全人家、商店が多い通学路である大気汚染、騒音に配慮する必要がある 人家、商店が少ない通学路でない 道路構造歩道が設置されていない視距が確保されていない道路線形が悪い路肩が確保されていない 歩道が設置されている視距が確保されている道路線形が良好である路肩が確保されている 沿道状況沿道出入口が多い交差点間隔が短い 沿道出入口が少ない交差点間隔が長い 交通特性大型車混入率が高い歩行者・自転車が多い実勢速度が低い 大型車混入率が低い歩行者・自転車が少ない実勢速度が高い これ以外の要因による補正も否定されるものではなく、これ以外の要因による補正も可。 全ての要因に該当していなければ、補正してはならないものではない。
※この「日本での最高速度の決め方(一般道路)」の解説は、「最高速度」の解説の一部です。
「日本での最高速度の決め方(一般道路)」を含む「最高速度」の記事については、「最高速度」の概要を参照ください。
- 日本での最高速度の決め方のページへのリンク