文理人気・職業選択への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 06:06 UTC 版)
「文系と理系」の記事における「文理人気・職業選択への影響」の解説
文理選択は将来の学部選択・専門分化を通じて職業選択に影響する。特に医師・歯科医師・薬剤師・建築士など資格取得に学歴を要求するような職業は、人気が高いこともあり大学入学の数年前からすでに受験勉強をしていなければならない。したがって、本人の学問に対する興味そのものよりも、本人の希望する職業、あるいは親が子供につかせたい職業によって文理選択を決める(決められる)場合が往々にしてある。それゆえに文理選択の全体的な傾向は、選択時の経済状況や経済予測、技術革新や流行等に影響を受けるとされる。 一般に、「不況になると理系が人気になる」とされている。代々木ゼミナール進学情報・指導部本部長(当時)の坂口幸世は、理・工学部志望者が減少して1995年頃に最少となり、そこから増加し2002年までに減少前の水準に戻った(代ゼミ調べ)ことについて、 長引く不況の中、理系学部出身者は専門的知識で勝負でき、就職にも有利だとして見直されている。学生は世情に敏感ですよ — 坂口幸世による発言、『理系白書 この国を静かに支える人たち』(毎日新聞科学環境部、講談社、2003)94頁 と分析している。 文系人気・理系人気は時代とともに変わりゆくので、需給のバランスもまた変わる。後の章で述べるように、平均収入や生涯賃金は文系と理系との間に有意な差があることが多く、時に優劣を逆転させながら、時代の流れによる需給バランスの変化に伴い連続的に変化してきた。それが原因となって逆に、文系人気・理系人気の波が加速・減速することもある。すなわち、文理選択の時点での文理別平均収入や生涯賃金予測を参考にして文理選択する者もいるわけである。 たとえば、理系の生涯賃金の平均が文系より5000万円近く低いとする1998年の調査もあり、これが理系離れの原因だと主張する言説が往々にして見受けられる。一方で2009年のデータを元に2011年3月に公表された調査報告では、46歳男性では理系出身者の平均所得が600.99万円で文系559.02万円を上回るとされた。この違いについて、IT産業の興隆などにより理系出身社長・取締役が増えたことやバブル期の調査データには銀行・証券会社など給料が製造業より高くこれが文系理系の差に反映されていたとの分析がある。
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