技術、音質、会社等について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 04:34 UTC 版)
「テラーク・インターナショナル・コーポレーション」の記事における「技術、音質、会社等について」の解説
もともとスピーカーのメーカーであるARC社の製品テスト・テープを作っていたのがきっかけでレコード会社として発足した。 テラークは音質について細心の注意を払っており、そのため、LPは原則として当時の西独のテルデック社のみ、CD、SACDは現在原則として米Sony DADCでしかプレスを許しておらず、CD、SACD共に日本盤のライナーノーツは添付される方式となり、これは子会社のヘッズ・アップも同様の方式となっている。そして、その音質は「テラーク・サウンド」と要約し、スローガンとしている。 基準としているのは50年代前半からアメリカのマーキュリー・レコードが発売した「リヴィング・プレゼンス」と銘打たれたシリーズで、全指向性マイクロフォンを左右+中央に配置して明瞭な定位を確保しリミッターやイコライザーに頼らない、デッカともRCAとも異なる音作りが行われている。マイクロフォンは小口径ダイヤフラムのSchoeps製モデルを採用。これも音質を特徴付けるものであった。 設立当初からレコード盤をダイレクトカッティングで製作していたが、デジタル導入では広いダイナミックレンジと周波数特性を確保するために、1978年4月に、量子化ビット数:16ビット直線、サンプリング周波数:50kHzというデジタル録音機としては当時最高峰の規格性能を持っていた米サウンドストリーム社製の4チャンネルデジタル録音機を採用し、数多く名録音を生み、オーディオ・マニアの賞賛を浴びた。あのオーディオ評論家の長岡鉄男も、1980~81年に、FM雑誌「FMfan」の自身のコーナー「長岡鉄男のDynamicTest」にて、同社のレコードを紹介していた。 その後、1981年にソニーとフィリップスの両社がコンパクトディスク(CD)を発表したのを機に(ハード、ソフトの発売は翌年の1982年10月)、サウンドストリーム社でのデジタル録音を止め、ソニーのデジタル録音機(PCMプロセッサーはPCM-1610を使用)及び編集機(DAE-1100)を使ったデジタル録音(16ビット直線量子化、サンプリング周波数:44.1kHz)に切り替わった。 1980年代後半により20ビットのA/Dコンバーターを使ったレコーディングを開始、1996年から24ビット方式の使用を開始し、ハイビットの録音データをCD規格に収めるApogee社UV22の原型となるディザリングを用いた変換プロセスも逸早く導入。この技術はサウンドストリームのトーマス・ストッカム博士による研究成果であった。1998年にはDSD方式による録音を開始し、それを基調としたSACD(主にハイブリッド仕様)をリリースしている。 又、SACDの登場により、以前のサウンドストリーム社による録音をSACD化するプロジェクトが登場する。理由は、デジタル録音機がソニー製に切り替わる前のサウンドストリーム社のデジタル録音は、量子化ビット数こそ16ビット直線と同じであるが、サンプリング周波数は50kHzで、CDの44.1kHzよりも高く、CDではそのサンプリング周波数50kHzの音質の良さをフルに活かすことができなかったが、DSDとSACDの登場により、そのサウンドストリーム社のデジタル録音の技術スペックをほぼ完全に活かすことのできる様になった為、オリジナルのサウンドストリーム社のデジタル録音のデーターから特注のデジタルソフトウェアーを使ってDSD化し、録音当時の音質をそのまま活かせるSACDを発売している。尚、このSACDはCDとのハイブリッド盤での発売であり、CD層も、新たにDSD化されたデジタル信号からCD用のデジタル信号に変換されている為、従来の同一CDよりも音質が向上されている。
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