性と尻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:03 UTC 版)
ヒトの尻は、大きな筋肉があることにより自ずと盛り上がりを見せるものであるが、それ以外にも、座位の際に関節や神経等を保護するクッションとなり、体重による苦痛を感じないよう脂肪が多く付いている。女性は、思春期開始から発達し始める乳房に比べて尻の発達し始めが遅く、初潮の1年以上前までは骨盤が前傾(女児型)しており、ウエストサイズとヒップサイズの差が小さく、男性と性差が殆ど見られない(骨盤の形状が生まれつき性差があるため、初潮の1年以上前でも尻に若干の性差はある)が、初潮を挟む前後1年間になると骨盤が前傾から直立傾向(女児型から女性成人型)に転換し始め、骨盤が開き、骨盤の幅・高さ・奥行きともに男性を大きく上回る上に、脂肪の沈殿によって、尻が後方へ突き出すようになって盛り上がることでウエストサイズとヒップサイズの差が大きくなり初め、初潮の1年後以降では骨盤が直立傾向(女性成人型)となり、ウエストにくびれが生じて、尻から殿溝にかけてボリュームが生じ、ウエストサイズとヒップサイズの差がさらに大きくなって尻がより強調されるようになるため、乳房と並ぶ重要な身体的魅力(セックスアピール)を発揮する部位となる。高齢になると、まずヒップの下部がたわむ。次にヒップの頂点が下がりウエスト周辺が無くなり四角い形になる。最後にヒップが内側に流れて股関節付近がそげる(個人差が大きく40代でも変化が無い人がいる一方で20代から変化し始める人もいる)。 類人猿をふくめたサルの類においても同様であるが、ヒトのような皮下脂肪ではなく、尻だこと呼ばれる皮膚の発達したものによって大きく盛り上がるものがある。役割としてはちょうど座布団を備えているようなものであり、これによって岩や木の枝などの上に長時間座って過ごすことができる。ヒトにおけるペンだこのように、接触刺激が継続することによってできるものではなく、尻だこは生まれつき備わっている。メスにおいては、四足歩行体形をとった際に尻の中央に外性器を示す。また、尻が赤く腫れ上がる(皮下の血管が透けて見える)ことがある。これは交尾の準備ができたことをアピールする、すなわちオスをひきつける効果を外性器とともに担っていると考えられている。 もともとメスのセックスアピールを発揮するのは、外性器とその周辺の尻の役目だったが、ヒトは直立して生活するようになり、尻および外性器がオス(男性)の目に付きにくくなった。そのため、尻の代替として思春期開始時から発達する2つの乳房のふくらみがよく発達したとの考えもある。これは他の哺乳類においては、ヒトほど盛り上がった乳房を持つものがない、また乳房の膨らみは授乳機能には直接の関係がないことを説明するものである。しかし、これは証明されたものではない。ただし、ゲラダヒヒという猿のメスは、胸が性器周辺を模したと考えられるつくりになっている。ゲラダヒヒは座って過ごすことが多く、尻および尻の中央にある外性器を見せることが少ないため、その代わりとして胸に身体的自己擬態としての外性器のコピーを持ったと考えられる。このコピーは本物の外性器と同様、いわゆる「さかり」がついたときに色が変化し、オスにそれをアピールする。このようなことから、ヒトであっても女性の胸が尻のコピーであるということは充分に考えられることではある。ヒトの場合、女性器のコピーは唇として発達したとの考えもある。これも乳房同様、他の動物には見られないことなどが理由となっている。少なくとも文化的にはそう考えられることが多い。ただし乳房と違い男性にもみられるため唇が女性器のコピーだとの考えの根拠は弱い。なお、二足歩行にともなって、歩行時に疲れた筋肉等を休めるために、ヒトは「イス等」に臀部を下ろし、体重を足から解放する。したがって「イス」と「臀部」と二足歩行は論理的な関係にある。 臀部の発達した欧米の若い女性などが、尻(腰)を左右に振るように歩くことがしばしば見られる。セクシーさのアピールとしての行動であるが、多かれ少なかれ臀部の筋肉の自然な動きでもある。しかし、臀部の筋肉の障害などによってもこうした動揺性痺歩行がみられる場合もある(トレンデレンブルグ歩行)。
※この「性と尻」の解説は、「尻」の解説の一部です。
「性と尻」を含む「尻」の記事については、「尻」の概要を参照ください。
- 性と尻のページへのリンク