性とレット症候群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 03:52 UTC 版)
一般的に女性の性染色体は、父親由来と母親由来のX染色体を各一本持つ(性染色体型がXX)ため、MECP2遺伝子も二つ保持している。レット症候群患者は、片方のMECP2遺伝子に変異がある状態である。もし両方のX染色体MECP2遺伝子に異常がある場合は、発生初期に致死である可能性が高い。二本あるX染色体に合計2セット存在する遺伝子群のうち、どちらの染色体の遺伝子群を使用するかは、胚発生初期にランダムに決定され、使用されないX染色体は生涯に渡って不活性化される(詳しくはX染色体の不活性化参照)。その結果、約半数の細胞では正常型のMECP2タンパク質を持ち、残りの細胞では変異型のMECP2タンパク質を持つ状態となる。この変異型MECP2を持つ細胞の割合や分布位置に応じて、重篤度や症状も変化すると考えられている。 一方男性の性染色体は、父親由来のY染色体と母親由来のX染色体を持つ(性染色体型がXY)ため、MECP2遺伝子は一つしか保持していない。もし一つしかないMECP2遺伝子に重要な変異が生じた場合は、発生初期段階や出産後早い段階で致死となると考えられており、そのため男児のレット症候群患者が稀であると説明されている。男児でレット症候群と診断される患者は、ほぼ例外なくクラインフェルター症候群も併せ持ち、Y染色体の他にX染色体を二本持っている(性染色体型がXXY)と報告されている。
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