強制管轄受諾宣言とは? わかりやすく解説

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強制管轄受諾宣言

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/20 02:43 UTC 版)

ニカラグア事件」の記事における「強制管轄受諾宣言」の解説

国際司法裁判所規程第36条2項によると、各国法律的紛争について、同一義務受諾する他国との関係において、特別の合意を成すことなしICJ管轄権義務的なものとして受諾する旨を宣言することができる。これを強制管轄受諾宣言、または選択条項受諾宣言という。ここでいう法律的紛争として具体的に規程第36条2項には、条約の解釈国際法上問題国際義務違反となるような事実存在損害賠償性質または範囲、が規定される。強制管轄受諾宣言は一定の範囲内ICJ義務的管轄除外することも合わせて宣言される(これを「留保」という)ことが多く宣言行っている国の間では、互いに同一義務受諾する旨が宣言されている範囲内においてのみICJ強制管轄権発生する。以下にニカラグアアメリカ宣言引用するニカラグアの強制管轄受諾宣言アメリカ合衆国の強制管轄受諾宣言1929年9月24日私はニカラグア共和国代表し常設国際司法裁判所管轄無条件強制的であることを認める。 T.F.メディナ 私、アメリカ合衆国大統領ハリー・S・トルーマンは(中略)、アメリカ合衆国が、今後生じる(中略法律的紛争についての国際司法裁判所管轄同一義務受諾する他の国対する関係において(中略義務的であると認めることを(中略宣言する。(中略)ただし、この宣言次のものには適用されない。 (略) (略) 判決によって影響されるすべての条約当事国裁判所提起され事件当事者である場合中略)を除き多国間条約の下で生ず紛争 この宣言5年効力期間を有しその後はこの宣言終了させる通告なされた後、6箇月が満了する時まで効力有する1946年8月14日ワシントンにおいて作成ニカラグアによる1929年宣言ICJではなく常設国際司法裁判所PCIJ)の強制管轄受諾する宣言であったが、ICJ規程第36条第5項により、戦後設立されICJ強制管轄受諾国とみなされるニカラグア主張した。この点を含めアメリカICJには本件審理する管轄権がないことを主張したが、ICJは以下のようにこれを退けたのである論点アメリカ抗弁判決ニカラグアPCIJ管轄受諾宣言有効性1929年ニカラグア宣言行った批准書寄託ていないため同宣言効力発生しておらず、PCIJ強制管轄ICJ継承する旨を定めたICJ規程第36条第5項の適用対象とはならないニカラグア1929年宣言の後に批准書寄託しなかったが、1946年以降批准書寄託という注釈つきではあったがICJ年鑑強制管轄受諾国としてリストアップされ続けニカラグアもこれを特に否定をしなかったため同国はこれを黙認したものと解されるニカラグア批准書寄託すれば効力生じたであろうし、ニカラグア宣言無条件のものであったので無期限潜在的効力持っていた。この黙認によりニカラグアICJ規程第36条2項に基づくICJ強制管轄受諾認めたこととなり、そのためニカラグアアメリカに対して同一義務受諾する国」であると結論する本件でのアメリカ宣言有効性1984年4月6日ニカラグアによる提訴3日前)に「1946年管轄権受諾宣言は、中米国家との紛争中米における事件から生じ紛争には適用されない」と、自国宣言を「修正」する通告ICJ行っており、これは効力生ずるために6ヶ月要する終了」には該当せず、この「修正」によりICJ管轄権本件には及ばないアメリカ宣言によれば、「この宣言終了させる通告なされた後、6箇月が満了する時まで効力有することとされており、アメリカ通告同国宣言部分的終了であるため通告効力発生のためには6ヵ月の期間を経なければならず、そのため同通告をもってアメリカ宣言無効にすることはできない影響を受ける他の多国間条約当事国判決によって影響されるすべての条約当事国裁判所提起され事件当事者である場合除いて多国間条約の下で生じ紛争ICJ強制管轄から除外しており、エルサルバドルコスタリカホンジュラスといった本案判決下された場合影響を受ける可能性がある国々本件当事者となっていないにもかかわらずニカラグア国連憲章米州機構憲章といった多国間条約上のアメリカ義務違反主張しており、そのためアメリカの強制管轄受諾宣言は本件には及ばないアメリカ宣言が言うところの「影響される」国について、その認定主体同国宣言明らかにしておらず、「影響される」国が存在するならば個々の国が自国利益保護のために訴訟提起するか、または本件訴訟参加表明をするか、いずれか選択することになる。しかし仮にICJニカラグア請求却下すればそうした第三国請求はなくなることになり、そのためすべての影響される」国が参加しているかどうかについては結局ICJ判断せざるを得ないが、これは事件本案に関する実質事項にかかわる問題であり、したがってアメリカ宣言における多国間条約に関する留保についての抗弁もっぱら先決性質有する事柄ではない。 上記のようにICJ常設国際司法裁判所(PCIJ)の強制管轄受諾としてのニカラグア地位否定したが、ニカラグア批准書寄託していなかったにかかわらず戦前PCIJ強制管轄ICJ継承する旨を定めたICJ規程第36条第5項によりニカラグア宣言拘束力生じたとする多数意見論理展開批判されることも少なくなく、実際に先決的判決反対した5名の裁判官もこの点を指摘している。

※この「強制管轄受諾宣言」の解説は、「ニカラグア事件」の解説の一部です。
「強制管轄受諾宣言」を含む「ニカラグア事件」の記事については、「ニカラグア事件」の概要を参照ください。

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