ニカラグアによる提訴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/20 02:43 UTC 版)
「ニカラグア事件」の記事における「ニカラグアによる提訴」の解説
ニカラグアは「アメリカがニカラグアに対し武力行使と内政干渉を行い、ニカラグアの主権、領土保全、政治的独立を侵害し、国際的に受け入れられた国際法の基本的原則に違反している」と主張し、1984年4月9日にアメリカを国際司法裁判所(ICJ)に一方的に提訴した。またニカラグアは提訴に際して仮保全措置を申請した。仮保全措置命令とはICJ規程第41条に基づき訴訟当事国の利益を保護するために裁判所が暫定的に指示する措置のことであり、当事国の権利が本案に関する判決を待っていたのでは回復不能なほどに侵害されるおそれがある場合になされる。本件でニカラグアが請求した仮保全措置の内容は以下の通り。 アメリカが、ニカラグアに対する軍事的・準軍事的活動を行う者に対する援助を即座に中止すること。 アメリカ軍やアメリカ合衆国当局によるニカラグアに対しての軍事的・準軍事的活動を中止し、ニカラグアに対する武力による威嚇、武力の行使を即座にやめること。 アメリカは本件を審理する管轄権がICJにないため仮保全措置命令を下す権限もないと主張したが、ICJはアメリカの主張を認めず1984年5月10日に仮保全措置命令を下し、アメリカに対して特に機雷を敷設するなどニカラグアの港湾への出入りを危険にさらす行動を控えること、そして両国に対しさらなる事態の悪化をまねくような行動を慎むこと、を命じた。しかし1985年にニカラグアに対する経済封鎖政策を開始するなど、結局アメリカがこの命令に従うことはなかった。
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