友好通商航海条約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/20 02:43 UTC 版)
ニカラグアは両国の強制管轄受諾宣言とともにICJの管轄権の基礎として、1956年に結ばれた両国間の友好通商航海条約の第24条を援用した。特定の条約の中に紛争解決手段としてICJに付託すること定めた条項を挿入したものを裁判条項といい、ICJの管轄権の基礎として強制管轄受諾宣言に加えてこうした裁判条項を併せて原告国が主張することは少なくない。このような二国間条約における裁判条項の場合、二国間条約が締結される点で両国間関係は友好的であるか、または条約が締結された時点で将来生じうる両国間紛争についてある程度見通しが立っていることが多いため、管轄権に関する抗弁がなされることは少ないが、本件においてはICJの管轄権の基礎として原告国ニカラグアが主張した両国間条約における裁判条項に対しても被告国アメリカはそれを否定する主張をした。以下にニカラグアが援用した両国間条約の裁判条項を引用する。 この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争で外交によって満足に調整されないものは、締約国が他の平和的手段による解決について合意しない限り、国際司法裁判所に付託される。 — アメリカ・ニカラグア間の1956年友好通商航海条約第24条第2項 ニカラグアはアメリカによる軍事的・準軍事的活動が同条約に違反していると主張するとともに、上記第24条第2項を援用してニカラグアが同条約上の義務違反を主張する場合にはICJの強制管轄が生じると主張した。アメリカはこの点に関しても、ニカラグアは提訴の段階で友好通商航海条約に言及していなかったのであって審理が開始されてからこれを追加することは認めるべきではない、と抗弁したが、ICJは、提訴の段階で当該条約に言及しなかったとしても審理の段階でその条約を援用することが禁止されるわけではない、としてアメリカの抗弁を退けた。
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