建築確認の手続
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建築確認の実施主体 確認検査を行い、公文書(確認通知書(※現在は確認済証という)、検査済証等)を交付するのは、従来、地方自治体の建築主事だけであったが、平成11年5月1日の改正建築基準法の施行により、民間企業である指定確認検査機関の社員で建築基準適合判定資格者も確認検査を行い、確認済証、検査済証を交付することができるようになった。 建築主事を置く役所は特に『特定行政庁』と呼ばれ、建築確認以外にも建築基準法に基づく許可等の行政行為も行っている。 また、建築物の建築主が国や独立行政法人(合同庁舎、裁判所、国立大学・高等専門学校・図書館、国立病院、国立美術館・博物館ほか)、都道府県又は建築主事を置く市町村(庁舎、公立学校、公立病院、公営住宅、公立美術館・博物館ほか)である場合においては、当該工事に着手する前に、その建築計画を建築主事に通知され(一般的に"計画通知"という)、建築確認と同様の審査が実施される。 建築確認申請 建築主が建築物を建築するにあたっては、まず建築主事か指定確認検査機関へ建築確認を申請しなければならない。申請後、建築基準法に適合する建築計画であるか審査され、建築基準法に適合する計画であれば確認済証が交付される。確認済証の交付を受けなければ、工事に着手してはならない。なお建築確認申請にあたり地権者や周辺住民の同意は必要ない。 建築主事は、建築確認の申請を受理した場合、その受理した日から、大規模建築物(建築基準法6条1項1号-3号に該当するもの)については35日以内、その他の建築物(建築基準法6条1項四号に該当するもの)については7日以内に審査しなければならない。指定確認検査機関にはこのような審査期間の制限はない。 また、建築主事・指定確認検査機関は、管轄の消防長または消防署長の同意を得なければ確認をすることができない。この同意は行政機関相互間の行為であって、行政処分(行政事件訴訟法第3条2項)には当たらない。 宅地建物取引業者は、新築物件(未完成物件)の販売では、確認済証の交付を受けるまで販売行為だけでなく、広告もしてはいけないことになっている。申請中である旨を明示したとしても広告はできない。ただし賃貸借契約であれば建築確認前でも契約を締結できる。 建築条件付土地取引 の場合には、先に土地の売買契約を行ってから買主のプランに基づいた建築確認申請を行うことになる。また、工事着手後に買主の希望などで設計変更した場合には、変更に基づいた手続きをしなければならない場合がある。 建築確認等の処分について不服がある場合、建築審査会に対して審査請求することができる。また、建築審査会の裁決に不服がある者は、国土交通大臣に対して再審査請求をすることができる。なお、かつて建築確認処分についての不服の訴えは審査請求の裁決を経た後でないと提起できないとされていたが、行政不服審査法の平成28年4月1日の改正施行によりこれは廃止された。 工事着手 確認済証の交付を受けると、実際の工事に取りかかる。工事の施工者は、工事現場の見やすい場所に、建築主、設計者、工事施工者および工事の現場管理者の氏名または名称ならびに建築確認を受けた旨の表示をしなければならない。また工事現場に当該工事にかかる設計図書を備えておかなければならない。 中間検査申請 特定工程を要する建築物の場合、建築主は当該特定工程にかかる工事を終えた日から4日以内に到達するように建築主事の中間検査を申請するか、4日が経過する日までに指定確認検査機関に中間検査を申請しなければならない。中間検査に合格すると、中間検査合格証が交付される。なお、特定工程後の工程にかかる工事は、中間検査合格証の交付を受けた後でなければ施工できない。 完了検査申請 建築主は工事完了の日から4日以内に建築主事に到達するように完了検査を申請するか、4日が経過する日までに指定確認検査機関に完了検査を申請しなければならない。建築主事は受理日から7日以内に完了検査を行い、問題がなければ建築主に検査済証を交付しなければならない。指定確認検査機関が引き受けを行った場合は当該工事完了日または引き受け日のいずれか遅い方から7日以内に完了検査をしなければならない。 建築物の使用 大規模建築物(建築基準法6条1項1号-3号)を新築、増築、改築、移転、大規模の修繕・模様替えの工事で、避難施設等に関する工事を含むものを行う場合、建築主は、検査済証の交付を受けた後でなければ、当該建築物を使用しまたは使用させてはならない。 以下の場合は検査済証の交付を受ける前でも仮使用が認められる。特定行政庁が安全上・防火上・避難上支障がないと認めたとき。 建築主事か指定確認検査機関が安全上・防火上・避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたとき。 現在では、建築確認から完了検査までの手続きをきちんと行い、検査済証を取得しないと住宅ローンの融資をしない金融機関が多くなっている。
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