庶民の服装
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 09:54 UTC 版)
「西欧の服飾 (17世紀)」の記事における「庶民の服装」の解説
農夫や樵たちはおおよそ17世紀を通して、シュミーズの腕をまくり上げ、昔ながらの「ホーズ」(長ズボン)か、ブリーチェス(ニッカーボッカー風の短いズボン)を穿いている。農夫達は、時には頭巾を被り、種まきの時に籾を入れたり手を拭うのに便利な短いエプロンを締めていた。また、防寒用にジャケット風の外套を着ることもあり、ドイツの農民の間ではこうしたジャケットを「ロック」、イギリスでは「ジャク」と呼んでいた。ロックは兵士の防寒着にもなっており、フランスではこの兵士の外套を「カザック」と呼んで広く着るようになり、後に「ジュストコル」という宮廷用の外套の起源となる。長く髪を伸ばすことはかつて貴族の特権であったので、髪はだいたい短く刈り込んでいた。領主たちの下で羊を追う羊飼いたちは古風な服装を守っており、シュミーズの上に古風なゆったりした飾り気のないプールポアンを着てブリーチェスを穿く。防寒のため「クローク」(釣鐘型の長いマント)を羽織って、ブーツを穿き、平らなクラウン(帽子の頭が収まる部分。帽子の山)と狭い鍔をもったフェルト帽をかぶった。農家から買い上げた牛乳を街に売りに行く牛乳屋は、ジャケットにキュロットを穿き、大きなボタンのついたブーツと平らな帽子、ミルク缶を荷馬車から積み下ろしするために膝まで覆う長いエプロンを身に付けた。農村に住む庶民の中でも、ワイン作りの親方はプールポアンに膝丈のブリーチェスを穿いて革のエプロンを締め、17世紀を通じて聖職者のように固い襞襟を身につけて威儀を正していた。これは、ワインが教会の祭祀に使われる重要な物品であるがゆえに、ワイン作りの職人もある程度尊重され裕福であったためである。 町に住む職人たちの衣装も互いによく似ていたが、職業ごとに多少の差異がある。職工は短いプールポアンにブリーチェスを穿いてエプロンを締め、円錐型の帽子を被っていた。靴屋も格好に大差はないものの、黒い革靴がトレードマークで、外出するときにはジュストコルを着ていた。肉屋は、シュミーズの袖をまくり、力仕事に耐える袖のない革のプールポアンを着ているのが特徴的だった。パン屋は、粉で汚れないように袖の短いシュミーズを着てエプロンを締め、髪を覆う帽子を被っていた。17世紀も末になると、清潔感のある白いエプロンがトレードマークになる。17世紀には、さびれた農村から街に職を求める人夫という職業が登場する。戸外での作業の寒さをしのぐベルトつきのコートに長い中着、膝を覆わない程度の短いブリーチェス、フェルト帽と踝丈の革靴に作業で出る小石などを入れておくためのバスケットを常に携帯していた。
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庶民の服装
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「西欧の服飾 (17世紀)」の記事における「庶民の服装」の解説
農婦は白麻の小さなボンネットやスカーフ、麦わら帽子を被り、安い毛織の長袖のボディスとスカートやワンピースの上にオーバースカートを着てエプロンを締めている。長袖のボディスの上から袖のないボディスやジャケット風の上着を身に付けている者もいるが、一様に飾り気のない黒いローファーのような靴を履いている。 市民の間にオランダファッションが流行した1650年代前後の一般の女性の服装は当時の風俗画家フェルメールやヤン・ステーンの作品などに見られる。よく見受けられる色は、淡い黄色を中心に淡い赤や水色、褐色、それに濃い青である。濃い青色はかつては王家の象徴とされるほど高価であったが、簡単に濃く鮮やかな青色が染められるインド藍の輸入が始まると1640年代後半には従来の淡い青しか出せないヨーロッパタイセイは駆逐されてしまった。女中は働きやすい地味な黒いワンピースに襟の詰まった白い小さな襟をつけており、上流市民の女性が大きく胸元を開けているのとは好対照である。 ルイ14世治下のフランスで絹や木綿布の生産が軌道に乗ると、上流階級への商品に仕立てる素材を取り分けた後の品質の悪い絹や木綿が出てきた。これを薄い布地に織りあげて庶民用に売りだしたところ、庶民の女性に大変な人気を呼んだ。こうした布地はたいてい灰色がかった色をしていたのでグリゼットと呼ばれたが、こうした身分の低い女性をややあざけって呼ぶときに「グリゼット娘ども」といういい方がされることがあった。
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