帝京大学理事長親族からの巨額脱税資産の発覚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 16:00 UTC 版)
「帝京大学医学部裏口入学事件」の記事における「帝京大学理事長親族からの巨額脱税資産の発覚」の解説
一方でこの裏口入学金問題の渦中にあった帝京帝京大学元総長の実弟で学校法人帝京学園の元理事長は、2002年に国税局によって、約3億1000万円の所得隠しを行い、約1億4000万円の脱税があったことを突き止められ、この弟は東京地検特捜部に所得税法違反容疑で同年11月6日に逮捕、26日に起訴されている。その原資は帝京大学医学部などに入学希望の学生の親から集めた裏口入学金だったことが明らかになっている。 さらに、時効のため刑事告発の対象にはならなかったが、1995年春の帝京大学入学試験の際にも、この実弟は合格発表前に医学部や法、経済学部の受験生の親計6人から約4憶7千万円を受け取った。このうち1億7千万円は大学側に寄付金として渡したが、残り3億円については大学への口利き料として自分の取り分とし、税務申告していなかったという。しかし帝京大学は1991年よりこの実弟が理事長だった帝京学園とは全くの無関係を公言しており、口利きに関してもこの実弟が仲介者であったことは認めず、2002年2月20日の中間報告書でも無関係を主張した。ちなみに帝京大学本部は板橋区加賀にあり、実弟が理事長の帝京学園も板橋区加賀の帝京大学の隣接地にあった。 また元総長の妹も、税務申告しているクリニックなどの事業所得のほかに、多額の現金が同妹の銀行口座などに入金されており、無申告の所得は5年間に約2億3000万円にのぼったことが、2002年に国税局から摘発されている。だが同妹が裏口入学金の受け取りを否定しており、また口座への入金が現金だったために入金者が確定できず、この原資が何だったかは、公式に特定はできなかった。しかし、同妹から「大学の発展のために寄付をお願いしたい」などと持ち掛けられた、医学部入学を望む子息をもつ開業医からの証言は判明しただけでも複数存在し、数千万円を寄付したと金額を証言する開業医もいた。これらの事例では、無申告所得の入金元をわからなくしたとは言え、国内の口座にそれを蓄財してしまったために、資金洗浄が不徹底だったと言える。 冲永荘一元総長は2008年に亡くなったが、2010年には冲永荘一の相続人である冲永佳史総長らが、租税回避地であるリヒテンシュタインの銀行口座に荘一元総長からの相続遺産約15億円を税務申告せず置いていたことを、ドイツからの情報により日本の国税局が明らかにした。しかし佳史総長は「この遺産の存在を知らなかった」として、意図的な資産隠しを否定した。証言に則る限り、相続の中心にあり且つ帝京大学グループの金回りの一切を父親である荘一元総長から引き継いだ佳史総長が、15億円に上る「この遺産の存在を知らなかった」ということになる。また15億円という巨額な遺産の原資が何だったのかも不明のままである。 2022年2月、帝京平成大学副理事長、学長であり、帝京大学グループの数多くの役職を兼務している冲永寛子の実家に隣接した約1000㎡の土地を、帝京平成大学が買い上げている事実が雑誌記事で公表された。この土地は帝京平成大学本部が置かれている東京都豊島区から遠く離れた兵庫県神戸市東灘区の高級住宅地に位置するが、2006年に帝京平成大学が推定価格5億円で買い上げ、2016年に買い増しもされていたとされた。周囲に帝京関係の教育施設はなく、またその土地を教育施設用地にするような動きも見られないものだった。しかもこの土地は自動車20台ほどのコインパーキングとして運用されており、この土地の所有目的やその収入がどこに納入されているのかを帝京平成大学に問い合わせても無回答だったという。 この土地の所有目的やパーキングの収入が冲永寛子とその親族の利益のためであれば、私立学校法の第26条の2「特別の利益供与の禁止 学校法人は、その事業を行うに当たり、その理事、監事、評議員、職員その他の政令で定める学校法人の関係者に対し特別の利益を与えてはならない」に違反する可能性があると記事では指摘された。
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