帝京大学グループ公益財団法人の巨額内部留保
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 16:00 UTC 版)
「帝京大学医学部裏口入学事件」の記事における「帝京大学グループ公益財団法人の巨額内部留保」の解説
それらの貯蓄先の財団は公益財団法人が主であったが、これら13の財団は総資産約400億円のうち、内部留保の合計だけでも約243億円に上った。これは税法上の恩恵を受ける公益法人が利潤の追求に走るのを防ぐために、国が「それ以下が望ましい」と定めていた年間事業費と管理費の合計の3割という公益財団法人の内部留保の上限額を大幅に超えるものであった。 実際この超過率が高い財団で上限額の1629倍の内部留保があり、13の財団の合計でも上限額の92倍の内部留保があった。 帝京大関連13財団の内部留保資産財団名内部留保(万円)国の基準額(万円)倍率帝京育英財団 愛媛県 738253 453 1629 帝京育英会 山梨県 323127 601 536 旭オールドエイジセンター(旭コミュニティ振興財団) 千葉県 765024 2621 291 冲永文化振興財団 東京都 26568 125 211 生涯学習振興財団 福岡県 33202 449 73 労働問題リサーチセンター 東京都 80387 1545 52 冲永荘兵衛記念図書館 愛媛県 200 5 37 日本産業リサーチセンター 14152 398 35 帝京山梨教育福祉振興会 山梨県 417799 16867 24 帝京広島健康福祉振興会 広島県 4573 224 20 山梨伝統産業振興会 山梨県 6278 433 14 帝京鳥取健康福祉振興会 鳥取県 2826 222 12 山梨文化財研究所 山梨県 21385 2439 8 合計 2433784 26387 92 たとえば1629倍の愛媛県大洲市の「帝京育英財団」では2001年3月の財務諸表では内部留保が73億8253万円、内訳は預金37億7千万円、約80銘柄の有価証券24億5000万円相当、金地金6千万円相当などだった。一方で学生ら59人への奨学金事業費と職員給与など管理費の合計は1500万円程度にすぎなかった。国の定める内部留保上限額は約450万円となる。愛媛県からは「公益法人の運営として不適切」と改善を指導されていた。同様に山梨県甲府市の「帝京育英会」は536倍で32億3127万円の内部留保、24億4000万円相当の有価証券や3億2000万円相当の金地金などを保有。291倍の千葉県旭市の「旭オールドエイジセンター(2021年現在「旭コミュニティ振興財団」)」は76億5034万円の内部留保、31億円相当の有価証券と1億3000万円相当の金地金などを保有していた。これらの財団もそれぞれ山梨県、千葉県から改善を指導されていた。 またこれらの財団ほぼすべてで冲永荘一総長とその親族が財団理事長などの役員に就いており、公益法人を隠れ蓑にした税逃れの蓄財目的が強く疑われる財団運営、資産構成であることが明らかになった。2021年現在も各財団の理事長、役員は冲永一族が名を連ねている。 このようにそれらの財団法人は、資産の運用利息の部分だけを育英財団事業などの公益事業に用いることで、表向きには慈善事業の目的を掲げながら、財団の資金の本体は実質的には冲永一族の資産になるという、何重もの巧妙な資金洗浄により、裏口入学金を非課税のまま私有化する仕組みが露見した。
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