巣守三位らの系譜上の位置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/05 21:11 UTC 版)
蛍兵部卿宮桐壺帝の子で光源氏の弟にあたる人物。何番目の皇子かは不明。おそらく第三皇子であろうとされている。現行の54帖からなる源氏物語の本文にも存在する人物である。最初は帥宮として登場し、後に兵部卿になる。源氏物語には他に兵部卿宮と呼ばれる主要人物が二人登場するために通常は「蛍」の一文字を加えて「蛍兵部卿」、「蛍兵部卿宮」、「蛍宮」などとも呼ばれる。「蛍」の呼び名は「蛍」巻の主要人物であり光源氏が放った蛍の光で玉鬘の姿を垣間見たことに由来する。 現行の54帖からなる源氏物語の本文において、直接には須磨巻から幻巻まで登場しており、いつ死去したかは不明であるが紅梅巻ではすでに死去しており、妻であった真木柱が再婚していることが明らかにされている。何人かいると思われる光源氏の弟の中では光源氏と最も仲がよく、頭中将とともに光源氏が苦況に陥ったときも源氏から離れなかった数少ない人物の一人であり、紫の上の死後に対面した数少ない人物の1人でもある。光源氏が芸術的な才能を発揮する場にしばしば登場する人物で、一貫して優れた風流人として描かれており、琵琶の名手であり香にも詳しいとされる。 当初右大臣の娘を妻にしていたが早くに死別。玉鬘への求愛者の1人でもあり、女三の宮の婿の候補の1人にもなる。後に鬚黒の娘である真木柱の夫にもなり、娘の「宮の御方」をもうけるものの夫婦仲は余りよくなかったとされている。 源三位蛍兵部卿宮の子。現行の54帖からなる源氏物語の本文には「源三位」としては見えないものの、梅枝巻に蛍兵部卿宮の子として登場している父蛍兵部卿宮の使いで自邸に本をとりに戻った侍従と同一人物であるとされている。源三位の母については不明であり、年齢的に真木柱の子とは考えられないため先妻(右大臣の娘)の子であるか描かれていない側室の子であると考えられる。父の蛍兵部卿宮と同じく琵琶の名手であったとされている。源三位は藤大納言(または藤中納言)の娘を妻にして男1人(頭中将)、女2人(大君=巣守と中君)の計3人の子を持った。しかしこの妻は3人の子を産んだ後に亡くなり、源三位は元妻の妹を新たな妻として迎えていた。稲賀敬二はこの源三位のモデルは博雅三位(はくがのさんみ)と呼ばれた源博雅であるとしている。 巣守三位「巣守三位」または「巣守の三位」と呼ばれ、「すもり」(堀部正二蔵断簡)、「一品内親王三位」(風葉集)、「大君」、「あねの三位」(系図小鑑)といった呼ばれ方をされることもある。源三位の娘2人の中の長女である。祖父の蛍兵部卿宮、父の源三位と同じく琵琶の名手とされている。その事績については後述する。 典侍源三位の子で巣守三位の妹。「中君」(源氏系図古鏡)、「中宮」(正嘉本古系図)、「巣守の中君」などとも呼ばれる。今上帝の女一宮に仕えており、はじめ匂宮が通っていたが匂宮が姉のもとに通うようになると匂宮は妹の元には通わなくなったとされる。その後に今上帝の二宮が通うようになったとされる。 頭中将単に「中将」(源氏物語巨細)としているものもある。源三位の子で描かれている中では唯一の男子であり末の子である。当初兵衛佐であったが頭中将に昇進する。宇治十帖での小君と同じく姉妹と匂宮や薫との仲をとりもつ役割を果たしていると見られる。 巣守物語ではこの他に宇治十帖での主人公ともいうべき匂宮と薫が重要な役割を演じている他以下の人物が登場している。 二宮現行の54帖からなる源氏物語の本文にも若菜下巻から蜻蛉巻まで登場する人物である。今上帝の二宮であり匂宮の兄で、母は匂宮と同じく明石中宮。六条院の南の町に住む。夕霧の娘のひとりを妻にしている。式部卿の地位についているため式部卿宮と呼ばれている。匂宮が通わなくなった巣守姉妹の妹「巣守の中君」のもとに通い結ばれたとされる。 女四宮朱雀院の女四宮であり現行の54帖からなる源氏物語の本文でも存在を確認することが出来る人物であり、特に「巣守」に関連する記述の存在しない古系図にも掲載されているが、現存する源氏物語の本文中では若菜下巻において朱雀院に女宮が四人いると記されている程度であるため事績などはほとんど不明な人物である。冷泉院の女御になったが寵愛をうけることが無かったので宿世をなげいて出家し大内山に隠棲していたところに出家を望んだ巣守三位が頼っていったとされている。稲賀敬二は、現存の源氏物語において全く事績の描かれないこの女四宮を含めて朱雀院の女宮を四人とする意義が巣守物語との関連以外に全く見いだせないことから現行の若菜巻下巻において朱雀院に女宮が四人いると記されていることが巣守物語の存在を前提としているのではないかとしている。
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