巣守と桜人・サムシロ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/05 21:11 UTC 版)
桜人及びサムシロも巣守と同様にかつて源氏物語に含まれる巻として存在したが今は内容が失われてしまったと考えられている。桜人は平安時代末期の源氏物語の注釈書である源氏釈において玉鬘の並びの巻のひとつであり、蛍の巻の次にあるとされており(この注記自体は真木柱の次に記されている。)、13条にわたって本文が掲げられてそれに対する注釈が加えられている。源氏釈の他にも鎌倉時代に作られた源氏物語の注釈書である異本紫明抄にも本文とされるものが伝えられている。わずかに伝えられている本文からすると、玉鬘に対する求愛の歌とみられるものがあるなど玉鬘に係わる物語が記されていたと見られる。また現行の玉鬘物語でも登場している巣守一族の始祖にあたる蛍兵部卿宮が桜人でも特に多く描かれていたらしいことが分かるなどの理由から、稲賀敬二はこの「桜人」巻に蛍兵部卿宮自身の話だけではなく、その子源三位の結婚やその子すもりの姉妹の出生と母の死亡や源三位の先妻の妹との再婚といった物語が描かれていたのではないかとしている。風巻景次郎は、この桜人を現在の玉鬘十帖=玉鬘物語の原型だったのではないかとしている。なお、桜人は巣守と同様に室町時代の源氏物語の補作である雲隠六帖の巻名に使用されている。サムシロは本文とされるものも内容を推測させる資料も全く伝わらないが、しばしば巣守や桜人と並べてかつて存在していた、あるいは後人の作った巻の名前として伝えられており、いくつかの巻名目録においては東屋や浮舟の巻の並びの巻とされたり異名とされたりしている。
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