蜻蛉巻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 23:48 UTC 版)
青表紙本や河内本などの現在一般的にみられる本文では、浮舟が失踪した後の人々の動きについて、「浮舟が失踪した事を聞いた匂宮が従者を使わし匂宮の従者が強い雨の中、都を出て小降りになったころ宇治に着く。その後、浮舟の母君が駆けつけ、遺体のないまま浮舟の葬儀をする。」という筋立てになっているのに対して大沢本では、「最初に浮舟の母君が強い雨の中を宇治に駆けつけ、葬儀を計画。その後、小降りになったころに匂宮の従者が到着。夜遅くなって葬儀が始まる。」という流れになっておりその異なりは写本で約22ページ・約220行・約2千字分に及ぶ。電気通信大学教授の島内景二は「源氏物語の写本ごとの本文の違いは、これまで見つかっているものはせいぜい言葉づかいの違いぐらいで、物語の展開まで違うものが見つかったのは初めてだ。」としており、伊井春樹は「大沢本の筋立ての方がむしろ自然である。」としている。
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