特徴的な記述
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/12/03 11:57 UTC 版)
「国文研本源氏物語系図」の記事における「特徴的な記述」の解説
現存する古系図の中でも全般的に独自の記述が多く、「54帖からなる現在一般的な源氏物語」とは整合しない記述を多く含んでいる。これらの記述の中には単なる誤りでしかない記述も含まれている可能性もあるが、巣守関連の記述など他の諸文書と共通の記述も多く、「54帖からなる現在一般的な源氏物語」とは異なる源氏物語やそれらを元にして作られた注釈書・梗概書・古系図などに基づいて記述した可能性があると考えられている。 紫の上に「のちに一品と申す」といった記述があるなど重要な人物に現行の源氏物語には記述されていない事績が記されている例がある。 光源氏の弟である「蜻蛉兵部卿宮」やその娘の「宮君」ような立項されていてしかるべき人物が欠けており、本系図の作者が蜻蛉巻を読んでいない可能性が考えられる。 光源氏の弟である蛍兵部卿宮や竹河巻の中心人物である蔵人少将など、複数の巻にわたって登場しさまざまな人物と関係を持った重要人物であり、ほとんどの古系図で何らかの説明文が付されているにもかかわらず本古系図では名前が挙げられているだけで説明文が全くない人物が何人か存在する。 右大臣(写本によっては左大臣)にまでなった夕霧を「大将」・右大臣にまでなった紅梅が「大納言」・太政大臣にまでなった髭黒が「大将」と呼ばれているなど、複数の巻に亘って登場しさまざまな人物と関係を持った重要人物の何人かが極官(最も高い最終官位)で記されていない。またこの夕霧・紅梅・鬚黒の子供の記述について混乱が見られる。これらの欠けている記述が「匂宮三帖」にある記述であることから本系図の作者は「匂宮三帖」を読んでおらず注釈書・梗概書・古系図などに基づいて記述した可能性があると考えられる。 現在一般には「宮の御方」などと呼ばれている蛍兵部卿宮と真木柱の娘について「匂兵部卿上」として匂宮の妻となったとの記述があるが、この人物が匂宮の妻となったとする記述のあるのは本系図のみである。
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