審査請求の手続(第2節)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 04:30 UTC 版)
「行政不服審査法」の記事における「審査請求の手続(第2節)」の解説
第18条(審査請求期間) 「行政行為#不可争力」も参照 主観的請求期間(処分があったことを知った日を基準とする期間)と客観的請求期間(主観的請求期間処分があった日を基準とする期間)の原則・例外を定める。なお、審査請求書を郵便や信書便で提出した場合において、その送付に要した日数は、審査請求期間の計算には算入されない(第3項)。主観的請求期間は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内、その前に再調査の請求を行っていた場合は当該再調査の請求に対する決定を知った日の翌日から起算して1ヶ月以内と定められる(第1項)。 客観的請求期間は、処分があった日の翌日から起算して1年とされ、処分があったことを知らなかったときでもこの期間を経過した場合は審査請求ができなくなる(第2項)。 第19条(審査請求書の提出) 審査請求は、他の法律に定めがある場合を除き、政令の定めるところにより審査請求書を提出してしなければならない(第1項)。 処分についての審査請求書における記載事項は以下のとおり(第2項)。審査請求人の氏名又は名称及び住所又は居所 審査請求に係る処分の内容 審査請求に係る処分(当該処分について再調査の請求についての決定を経たときは、当該決定)があったことを知った年月日 審査請求の趣旨及び理由 処分庁の教示の有無及びその内容 審査請求の年月日 不作為についての審査請求書における記載事項は以下のとおり(第3項)。審査請求人の氏名又は名称及び住所又は居所 当該不作為に係る処分についての申請の内容及び年月日 審査請求の年月日 第20条(口頭による審査請求) 行政不服審査制度は書面審査を基本とするが、例外的に口頭による審査請求が認められる場合の手続きについて定める。第19条第2項から第5項までに規定された審査請求書に記載すべき事項を口頭で陳述しなければならない。この場合において、陳述を受けた行政庁は、その陳述の内容を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認し、陳述人に押印させなければならない。 第21条(処分庁等を経由する審査請求) 審査請求をすべき行政庁が処分庁等と異なる場合に処分庁等を経由して審査請求を行う場合の手続きと請求期間の計算について定める。審査請求をすべき行政庁が処分庁等と異なるときの審査請求は、処分庁等を経由してすることが認められており、この場合、審査請求人は、処分庁等に審査請求書を提出するか、処分庁等に対し第20条と同様に陳述するものとする(第1項)。 この場合、処分庁等は、直ちに、審査請求書又は第20条後段の規定により陳述の内容を録取した書面(以下、「審査請求録」という。)を審査庁となるべき行政庁に送付しなければならない(第2項)。 この場合、すでに審査請求人は審査請求開始の手続上の義務は果たしているので、審査請求期間の計算は、処分庁に審査請求書を提出し、又は処分庁に対し当該事項を陳述した時に、処分についての審査請求があったものとみなす(第3項)。 第22条(誤った教示をした場合の救済) 処分庁が誤った教示をしたときの救済について定める。誤った教示による不利益は国民に負わせるべきものではないから、審査庁と異なる行政庁に審査請求を行ったり実際には認められていない再調査の請求を行った場合であっても、以下の手続きにより、初めから審査庁となるべき行政庁に審査請求がされたものとみなされる(第5項)。審査請求ができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすべき行政庁でない行政庁を審査請求をすべき行政庁として教示した場合にその教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、速やかに、審査請求書を処分庁又は審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない(第1項)。当該審査請求書を送付された処分庁は、速やかに、これを審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない(第2項)。 審査請求ができる処分で再調査の請求ができない処分であるにも関わらず、処分庁が誤って再調査の請求ができる旨を教示した場合において、当該処分庁に再調査の請求がされたときは、処分庁は、速やかに、再調査の請求書又は再調査の請求録取書を審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を再調査の請求人に通知しなければならない(第3項)。 再調査の請求ができる処分について、処分庁が誤って審査請求ができる旨を教示しなかった場合において、当該処分庁に再調査の請求がされた場合であって、(再調査の請求後に審査請求を選択できたことを知り)再調査の請求人から申立てがあったときは、処分庁は、速やかに、再調査の請求書又は再調査の請求録取書及び関係書類その他の物件を審査庁となるべき行政庁に送付しなければならない。当該送付を受けた行政庁は、速やかに、その旨を再調査の請求人及び当該再調査に参加する者に通知しなければならない(第4項)。 第23条(審査請求書の補正) 必要的記載事項の漏れや必要的添付書類の不備など、審査請求書が第19条の規定に違反する場合には、審査庁は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。 第24条(審理手続を経ないでする却下裁決) 補正を命じられたにもかかわらず、審査請求人が審査庁が定めた期間内に不備を補正しないときは、審査庁は、行政不服審査法に定める審理手続を経ないで、裁決で、当該審査請求を却下することができる(第1項)。審査請求が不適法であって補正ができないことが明らかなときも、同様となる(第2項)。 第25条(執行停止) 執行不停止原則と執行停止の要件を定める。審査請求があり次第執行停止(後述)の効果を生じさせた場合、行政な円滑な運営が阻害されたり審査請求の濫用を招くおそれがあることから、執行不停止原則(審査請求があっても、処分の効力、処分の執行又は手続の続行は妨げられない)を採用する(第1項)。 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要な場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下、「執行停止」という。)をとることができる(第2項)。 処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要な場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない(第3項)。 上記審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない(義務的執行停止)。ただし、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」や「本案について理由がないとみえるとき」はこの限りでないという消極要件が定められている(第4項)。 審査庁は、上記の重大な損害を生ずるか否かの判断に当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする(第5項)。 処分の効力の停止は暫定的とはいえ強力な措置であることから、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができない場合にのみ認められる(第6項)。 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない(第7項)。 第26条(執行停止の取消し) 執行停止後、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。 第27条(審査請求の取下げ) 訴訟の終了等につき当事者の主導権を認める処分権主義に則り、審査請求人は裁決があるまでであればいつでも審査請求を取り下げることができる(第1項)。審査請求の取下げは、審査請求人に重大な影響を与える行為であることから、後日の紛争を回避するために、書面でしなければならない(第2項)。
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