奥只見発電所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 14:09 UTC 版)
奥只見発電所は、完成当初の認可出力は360,000kWと下流の田子倉発電所 (380,000kW) に次ぎ一般水力発電所としては全国第2位の出力だった。発電した電力は送電線を通じ東京電力と東北電力に送られている。この360,000kWの電力は東芝製発電機3基により発電されていた。 だがその後も首都圏の電力需要は増え続ける一方であり、夏季ピーク時の電力消費量は供給量の限界近くに達する事が度々あり、放置すれば大停電という事態を招きかねなかった。この問題に対し電源開発は首都圏のピーク期電力の需給安定を図る為、奥只見発電所の増設を計画した。だがこれに対し、既に釣りのメッカであった奥只見湖が水質悪化したり周辺地域の自然が破壊されるとして、地元住民や釣り客等から懸念の声が上がった。 この声に電源開発は住民に対する説明会などを開く一方で自然への影響を最小限に抑える為、増設工事の工法に工夫がなされた。発電所に送水する為の送水鉄管増設に際しては、貯水したままダムの設置地点に遮水壁を設け、水を抜き穴を開ける工法を用い、その後送水管を通すことで貯水池の水質を保全する対策を採った。また、越後三山只見国定公園に指定されていることから工事用地使用の環境への影響を最小限に抑えるべく、湿地及び湿地に生きる昆虫等の保全のための緑地公園を造成。緑地公園完成後は「八崎造成地」として観光客に開放した。さらに付近の山岳地帯は天然記念物のイヌワシ繁殖地である為、営巣活動期間の11月~6月は工事を中止し、その他の期間でも工事車両の通行を抑制したり屋外では赤色など刺激色を使用しない等、環境に高度に配慮した工事を展開した。 これらの工夫が行われながら1999年7月より開始した増設工事は2003年6月に完了し、「只見川筋水力開発計画概要」通り認可出力360,000kWだった出力は、200,000kW増やし認可出力560,000kWという日本最大の一般水力発電所としてリニューアルした。増設分も含め、発電された電気は首都圏等の電力需要に応え、電力の安定的な供給に寄与している。この増設工事で東芝製発電機1基を追加し、奥只見発電所の発電機総数は4基となった。 ダム近傍には電源開発によって入場観覧無料のPR施設である奥只見電力館が備えられ、ダム・発電所の役割や構造、歴史などをわかり易く学ぶ事が出来る。また奥只見発電所で実際に使われていた水車の部品なども展示している。
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